あの花が枯れたなら、もう終わりにしましょう。
僕達の関係は祝福される様な物ではありません。聖ルドルフはミッション系の学校ですし、宗教の事を抜きにしたとしても、この先の未来が明るいものとは思えません。

 ええ、僕は貴方を愛していますよ。出来るならずっと側に居たい……強く、思います。
ですが僕には、純粋で輝かしい日々が砕かれる事に耐えられる自信がありません。だからこそ今この時を大切にしたいのです。
こうして、昼下がりに二人で紅茶を飲んでいる事や、不二君の手の温もりを、忘れたくないのです。想い出は幾重にも僕を包み込み、優美な琥珀となって煌めくでしょう。
……卑怯だと、罵って呉れて構いません。
其れでも僕は、愛を以て、君に別れを告げたいと思います。

「――さようなら、不二君」














[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ