例えば擦れ違う時の挨拶だとか、休憩中に目が合っただとか、たった其れだけの事でも僕は嬉しくなるんです。

貴方は責任感が強いから、何時も何か考え事をしていて、そして時折少し辛そうな顔をして、其れでも周りには平気な顔をして1人で全部背負い込んで。僕は僕に出来る事をしてあげたいけど、其れは慰めとか然う云う事じゃなくて……嗚呼、僕は無力。
だけど貴方が僕のピアノの旋律を好きだと言って呉れて、聴いている間は本当に優しい顔をして呉れるから、少しは癒せているのかなって思うんです。瞼を降ろした其の儘、眠ってしまう事も有るけど、其れさえ何だか微笑ましくて『夢の中にも僕が居たら良いな』なんて思ったりして。貴方の美しい瞳の色を湛えた様な、紫翠の広がる平和な世界へ貴方を誘えたなら。

「おやすみなさい、アスラン」

 ――神様、僕は今日も生きている事が出来て幸せです。晴れた空に火花は似合わないから、祈る様に、身に纏う紅い誇りに誓う様に、僕は戦う。"明日"の為に、大切な人達を守る為に。

だから今は、今だけは。
貴方の隣に居させて下さい。























.

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ