本@

□看病
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「ハナは 絶対こっちにきてはダメだからね。」

せつなそうな声を上げるタカコさん。
私は、心配で心配で 隣の部屋からタカコさんの方を見ているしかできない。

「わかっています。私はここにいますから お願いだから眠ってください。」
「うつると大変だから…傍によらないほうが…」

本当に自分が辛いのに、人の心配ばかり……やっと静かになった。
荒い息だけど眠ったみたい。
このすきに冷たい水とジュース、それから…冷たい水で絞ったタオルと乾いたタオル。
そっと枕元に置いて、タカコさんの額に手をやるとまだまだ熱い。

頬に頬をつけてみると悲しいほど熱が私に伝わる。
いつもはわたしが、暖めてあげたくなる冷たい頬なのに…

あっ! 
いい事思いついちゃった。
あれ? 
いい事かな?
いいや…やっちゃえ。

衣擦れの音もたてないように、服を脱ぐ。
一瞬下着はどうしようかと迷ったが 
えい! これも脱いじゃえ。
いつもならタカコさんが見ると思うと恥ずかしくできないが、今は静かに目を閉じてる。
タカコさんを起こさないように、隣にもぐりこむ。
私の冷たい体を熱もつタカコさんの体に沿わす。
どうか早く熱が下がりますように。
タカコさんも気持ちがいいのか、腕を回し抱きしめてくる。
起きているのかと、びっくりしたが眠っている。
荒い息が、だんだん規則正しい寝息になってきた。
寝息を聞いているうちに、私も眠りの中に吸い込まれていった。
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