本@

□戸惑い
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さっきから、ハナは思いつめた瞳で私をみつめてる。

「ハナ 相談てな〜に?」

ハナは私の横に座り直し

「すいません タカコさん。…後ろ向きになってください。」
「えっ 後ろ向き?こうかな?」
「はい。絶対こっちを向いては嫌ですからね。お願いします。」
「うん。わかった。だから、ハナ 相談てな〜に?」
「タカコさん…私は今まで付き合った人もいなくって、愛したり愛されたりした事もタカコさんだけなんです。」
「うん!わかってるよ!」

だからすごく嬉しいと続けようとしたら…ハナはとんでもない事を云いだした。

「だから、私、…下手ですよね。」
「下手?」

なにが下手なのか聞こうとしたが、ハナは気持ちがいっぱいいっぱいで1人突っ走っているようだ。

「下手なので練習するか 誰かに教えてもらえれば上手になるかと思って…タカコさん誰かいい先生知っていますか?」

自分の恋人に、愛の手ほどきの先生を紹介しろと言ってるよ、この子は!

「ちょっと ハナ!あなた何云っているのかわかっているの?」

振り返ろうとしたが、ハナは頭を私の背中にくっつけて振り向かせてはくれなかった。
涙声のハナは気持ちが溢れ溺れているみたいだ。

「だって…タカコさん、下手より上手の方がいいでしょう?ダンスでも、歌でも上手くなかったら上手くなるように練習じゃないですか だから…」

隙を見て振り返る事ができた。
ハナを見たら、ポロポロ涙を流してる。

「ハナ 誰かにキスの仕方を教えてもらったりして私が悦ぶとおもう?」
「………」
「お芝居や、ショー以外で誰かがハナに触るの嫌だな〜」
「でも…下手よりは…」
「下手でいいの!心がこもっていれば。」
「心はこもっています。たくさん。でも…如何すればいいのかわからなくって…」
「話してハナ…二人のことだから、二人で解決しよう。ね!」
「話したら、タカコさんに嫌われちゃう…」
「そんな事ないから、話して さあ!」

タカコの優しい言葉と瞳を見てハナは自分の気持ちを正直に話した。
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