本@

□夢
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優しい静寂のなか、いつになく台本を読み込めた。
気がつけば2時間も経っていた。

振り返りハナを見ると、ハナは慌てて台本に目を移した。

『アレッ?』
「ハナどうしたの?」
急いで傍に行くと、台本から目を離さず
「どうもしませんよ。」
と返事が返ってきた。

ハナの可愛い頤を指で上げて、私の方に顔を向けさせると黒い瞳は濡れていた。
台本を見ると最初のページのまま、幾つも涙の跡があった。

「泣いていたの?寂しかった?」
「違います。ただ、タカコさんを見ていたら幸せだなーって。可笑しいですよね。幸せなのに涙が止まらなくって…」
私はハナの涙を指で拭き、話を聞き始めた。

「ハナ嬉しいよ!そんな風に想ってもらっていたなんて。今も想ってくれて。」
ソファーに腰掛け両腕でハナを抱きしめキスをした。
「私もハナを見ていると、とても幸せな気分になるよ。そして、私の腕の中にいるハナを見て、感じると、もっと幸せななる。」
ハナが溶けてなくなりそうなタカコの甘い囁きだ。

「邪魔じゃないですか?今日だってタカコさん、私がいない…」
最後まで言わせないようにキスで塞いだ。

「ハナは邪魔じゃない!私がどんな時でも、ハナが居てくれれば幸せなんだから。」
「タカコさん…」
ハナからそっとタカコの唇にふれた。

ハナの顔を覗き込むと真っ赤になっている。
「ハナ…ハナ…私のハナ。」
タカコはハナの服の下に手を入れてきた。
「ちょっ…タカコさん。今日は本読み…」
「終わりだよ。ハナの愛で調子が良かったから。だから…ご褒美」
「ご褒美って…私が?」
「そう!私には愛しいハナがご褒美で、ハナには愛しいタカコさんがご褒美。嫌ですか?」
「……嫌じゃありません。」








[完」
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