本@

□棘
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「ハナ 明日はどうする?ドライブでもする。」
「ううん。明日はお仕事です。」
「お仕事? ずんこさんと?」
「違います。グラフのお仕事、対談です。」
「フーン 誰と?」
「コムチャンと。」

ハナは嬉しそうだ。

「3時間ぐらいで終わるよね。」
「はい!」
「じゃあ 夜、一緒に食事をしよう。」
「はい。喜んで。」

タカコの胸に小さい棘が刺さった。

「表紙はタカコさんとリカさんですね。」
「うん。楽しみだね。」





本ができたので頂いた。
結構、表紙は照れくさい。

ページを捲っていくと…
目に飛び込んできたのは、白いハナとコム… お揃いの洋服だ。
話は他愛もないことだった。
写真も仲の良い感じが出ていて変ではなかった。

でも嫌だった。

宙組にいる時からコムのハナに向ける眼差しが気になっていた。
彼女は口数は多くないが、いつもハナを気遣っていた。

胸の棘が深くくいこんだ。





不機嫌のまま、ハナの家に行く。

「いらっしゃい。如何したんですか?急に、」

玄関に現れたハナは、対談のときのあの服を着ていた。

「…その服、ハナには大きいんじゃない?」
「はい。コムちゃんのサイズですから。」
「貰ったの?」
「ええ。2枚あるからって。」

「…ハナには似合わないから、脱ぎなよ。」
「えっ?脱ぐって…」
「早く!違うのに着替えなよ。」
「何処に行くわけでもないから、構わないじゃあないですか。」
「私が嫌なの!自分で脱げないなら、私が脱がしてあげる。」
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