変わり種
□◆恋の季節◆
2ページ/2ページ
「……気持ち悪いぞ…野分。」
「すみません。嬉しくて…つい…。」
「………///」
俯いたヒロさんは、俺を叩いた前脚をまた舐め始めた。
俺もヒロさんの前脚を一緒に舐めると、時々舌が触れてくすぐったい。
ヒロさんの毛繕いを手伝いながら、可愛い舌が出たり入ったりする口元もペロペロ舐める。
目元や、耳の付け根にも範囲を広げて夢中で舐めると、いつの間にか毛繕いをやめたヒロさんが、ジッと俺を見ていた。
「ヒロさん?」
小首を傾げて、ヒロさんを覗き込むと…突然ペロンと口を舐められた。
「…お…お返し…///」
恥ずかしそうに答えたヒロさん……可愛い。
可愛すぎるっ!
「ヒロさん、首…噛んでもいいですか?」
首を噛むということは…暗にお伺いを立てる事と一緒だ…。
「……う…うん…///」
短い返事をしたヒロさんの後ろに回り込み、細い首筋に痛くないように優しく牙をたてた。
「……んっ…///」
…ヒロさんの体の力が抜けたところで、尻尾を少しずらしてくれたヒロさんの後孔に、ゆっくり自身を挿入した。
「……あ…っ…はぁ…ぁ…」
甘い吐息と一緒に、ヒロさんの背中が反り返り、肉壁がきゅうっと俺を締めつける。
「……んっ…///ヒロさん…すごい…っ…」
「あっ///……の…わきっ…。」
突っ張っていた前脚が崩れると、ヒロさんの可愛いお尻が突き出す姿になって…ますます興奮してしまう。
「…あ///…ヒロさ…っ…俺…いきそうです…」
「はぁはぁ…オレも気持ちい…ぁっ…///」
「……ヒロさん…っ。…好き…っ」
ビクビクっと震えたヒロさんの体から、放った白濁がフワフワの毛の上をトロりとつたい…俺も少し遅れてヒロさんの中に精を放った。
背中を丸めるヒロさんの上に頭を載せて、暫し快感に酔いしれる。
俺が自身を抜こうとすると、ヒロさんが待ったをかけた。
「ちょっと待て野分。いきなり抜くなよ?」
「あ…はい。すみません。」
…そうだった。
俺達、オスには返しのようなトゲがついているから、抜く時にヒロさんは凄く痛いんだ。
…なるべく、ヒロさんに苦痛は与えたくないから、そぉーっと…そぉーっと抜きにかかるんだけど…最後はどうしても…
「…ってぇ。」
ヒロさんはゴロゴロして痛みをやり過ごすのだ。
「ごめんなさい。ごめんなさい。ヒロさん…」
「いや…気にすんな。オレが…その…望んでしてる事だし…。」
そう言って笑うけど、
我慢する恋人が痛々しくて…俺はヒロさんの痛みが薄らぐまで舐めて労るしかないのだ。
「野分、もういいよ。くすぐったいって///」
「はい。あと…ここも…。」
ヒロさんのお腹の毛がフワフワになるまで舐めていると
「野分、もういいって…あんまり舐めるといっぱい毛玉飲み込んで腹こわすぞ?」
「………はい。」
お腹の毛がフワフワになったヒロさんの横に寝転び一緒に空を見上げると
…遠くから…恋の季節を知らせる甘い鳴き声が聞こえてくる。
「ねぇ…ヒロさん。俺達の恋の季節って、いつなんでしょうね…。」
他のネコ達は、年に数回発情期を迎えるけれど、年がら年中ヒロさんが好きな俺には、その恋の季節がわからない。
すると起き上がったヒロさんは、
「…ないだろ。」
そう言って耳を後ろ脚で掻いた。
「え?ないんですかっ!?」
「あるわけねぇだろ。…ずっと……好…きなんだし…///」
「…え?ヒロさん…今…なんて?」
「…っ…知るかっ///」
容赦なく拳を振り下ろしたヒロさんは、ぷいっと背中を向けた。
「……いたた…。」
ホントは、ちゃんと聞こえたんだ…。
でも…ヒロさんには、もっと好きって言って欲しいんだ。
だって、今は正真正銘「恋の季節」なんだから………。
(おわり)
.