変わり種

□◆木漏れ日の下で◆
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オレには、草間野分という恋人がいる。



年下のクセに…オレよりムカつくほど背が高い男で、頭もソコソコに良く、性格は温厚…そして真っ直ぐだ。



幼なじみの秋彦は、オレ達の関係に感づいているみたいで

…時折、意味深な笑みを向けて来る。



「…なんだよ秋彦、気持ち悪りぃな///。」


「…お前ほどじゃないと思うぞ。」


「………っ…///オレのどこが…」


「あ、…あれって1年の…」


窓際の席から外を見ていた秋彦が下を指差した。

もしかして野分か?と高鳴る気持ちをグッと堪え外に目を向けると、ジャージ姿の野分が中庭を抜けて校庭に向かう後ろ姿が見えた。


同じジャージを着ているヤツばかりが散らばっているのに、一発で野分を見つけてしまうのは、

真っ黒の髪が頭一つ抜きん出ているからなのか

…はたまた好きなヤツに対する贔屓目なのからなのか…。

まぁ、それはそうとして…

最近一つ…気になる事がある。


それは、野分に纏(まと)わり付く同じクラスの女子どもだ。


男女共学のこの学校には、女子と同じ数だけの男子もいるのに

…なぜに野分のまわりにだけ女子が群れるのか…。


「…気になる?」

頬杖をついた秋彦が意地悪く笑いながら聞いてくるから、どうしたってオレは平静を装わざるを得ない。


「………別に。」


…腸(はらわた)が煮え繰り返っていようが、面(おもて)に出さないくらいの堪え性はオレにだってある…。


「…やせ我慢?」


「るせぇ…。なんでオレが、やせ我慢する必要があるんだよ。」

形のよい唇に笑みを湛えた秋彦に、いらない一言を言われて一気に眉間にシワを寄せる弘樹だった。


「…モテる彼氏持つと、気苦労が絶えないねぇ。」


「おいっ!かっ…彼氏とか言うなっ///」


野分を彼氏呼ばわりされ、あたふたするオレに


「ヒロさーん。」


………っ…!?

どれだけ離れていても、オレを見つけて手を振るヤツの視力は、いったい幾つなのだろう?。


「……野分め。」


口では迷惑そうに言うクセに、嬉しいと思ってしまう上に手を振り返している自分が情けなくなる。



「…お前。…言ってる事とやってる事が違う。」

「…う…うるせぇ///わかってっから、そこにつっこむんじゃねぇ。」



弘樹が真っ赤になったところでタイミング良く予鈴が鳴るのだった。






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