今日からマ王!
□○○と青翠の奇跡
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大賢者様によると、あの魔石は2人で触ってしまうと中身が入れ替わるという…厄介なものらしい。
「…む…村田。なんとか元に戻す方法はないのかよ。」
コンラッドの姿をしたユーリが、困った表情で尋ねると、
「大丈夫、そのうち元に戻るから。…ただね、時期が区々(まちまち)だから、なるべく一緒にいた方がいいとは思うけど。」
村田は、肩をすくめて笑う。
「なんということでしょう。王と臣下の中身が入れ替わる等、前代未聞です。」
王佐ギュンターは頭を抱える。
「しかし、こうなってしまったからには、元に戻るのを待つしかあるまい…。」
グウェンダルは、殊(こと)の外(ほか)冷静である。
「ユーリっ!よりによって、なぜコンラートなんだ。入れ替わるなら、婚約者の僕でも良かったはずだっ!」
「そんな無茶な…。」
噛みつかそう勢いのヴォルフラムに、ユーリの姿をしたコンラッドがユーリを後ろに庇うようにして苦笑いする。
「ヴォルフラム、陛下が困っているよ。」
「ユーリの姿をして、それを言うなーっ!」
地団駄(じだんだ)を踏み悔しがるヴォルフラムに…
グウェンダルは、はぁ…と溜め息をつくと、
「とにかくっ!混乱を避けるために城内の者たちに気づかれないようにしろ。極力、陛下とコンラートは元に戻るまで部屋から出るんじゃないぞ。いいな?」
「ああ、…わかった。」
コンラッドが返事をする。
「…まぁ…2人でいる分には、大きなストレスはないだろうし…何より警護しやすいよね。そうだろ、ヨザック?。」
村田は、ヨザックに笑みを向ける。
「そうですね。それに坊ちゃんの傍に隊長がいますから、俺の出番は殆どないと思いますけど?」
「ふふっ。それもそうだね。」
「いいえ、猊下っ、僕が2人の傍にいますっ!」
警護に立候補したヴォルフラムだったが、
「お前には、コンラートの代わりに仕事をしてもらう。」
グウェンダルにアッサリ却下されてしまったのだった。
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