ロマンチカ
□運命の人
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勢い良く部屋を出てしまった手前…コンコンとドアをノックする音も控えめの美咲だった。
「ウサギさん、オレ…バイト行ってくるから。」
ドアの前で声をかけると、ガチャリと扉が開き秋彦が顔を出す。
「バイトは、明日って言ってただろう?なんで、これからなんだ?」
「あー…っと、予定変更?」
「だめだ。何時だと思ってるんだっ。今から行って終わるのは確実に深夜だろう?何かあったらどうする。」
例のごとく、過保護な秋彦に顔をヒクつかせた美咲だった。
……いや、なにもないと思うよ…あるとすれば眠いくらいで…。
「バイト行くだけだし…なんもないよ。じゃあ行ってくるね。」
機嫌が悪そうな顔を隠す事をしない秋彦に、丸川書店へ行くことだけ伝え、半ば振り切るようにしてバイトに出かけた美咲は、マンションを見上げ歩く速度を緩めた。
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「明日の朝までには、終わらせるから待っててよ…。ちゃんと取材に付き合ってやるからさ…。」
美咲は、ピシャリと頬をたたき丸川書店へ向かった。
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