エゴイストU

□+逃げるが勝ち+
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「…ちょっといいかな。ほれ野分、カフェオレだ…。」


2人の間に割って入ったオレは、野分に視線を送りトレイをテーブルに置いた。


そうする事で、そこにいる女…もとい…女性を追い払おうとしたが、


「あ、友達と一緒だったんですね。」

そう言ってその女性は、爽やかな笑みをオレに向ける。


……友達じゃねぇよっ!

れっきとした恋人だっつうの!

それを口にする事が出来ないオレは、イライラを形にして眉間に浮かべた。


「ヒロさん、ありがとうございます。」


そんなオレの気持ちを知ってか知らずか、オレの差し出したカフェオレを受け取りニコニコ笑う野分にも腹が立つ。


オレ達、デートしてんじゃねぇのかよっ!

なんで鼻の下のばしてヘラヘラ笑ってんだ!


「野分さんって言うんだ…。珍しい名前なんですねぇ。」


………頼むから、どっか行ってくれ。


「あの…ヒロさん?。」


首を傾げる野分の隣に、不機嫌な顔をしてどっかり腰を下ろすと

「えへへ、私も座っちゃおうっと。」


どこまでも積極的なその女性は、どさくさに紛れるように野分の隣に腰掛けてしまった。


……っ!…藪蛇(やぶへび)じゃねぇか…。


ますます弘樹は眉を寄せた。

「ねぇ野分さんって、どんなタイプが好きなんですか?」

「…タイプ…ですか?」


一瞬キョトンとした野分だったが、すぐに熱っぽい視線を弘樹に送る…。


「…そうですね。地味でも良いから嫉妬してくれて…、普段から好きって囁いて…。それからベッドで可愛く悶えてくれる人が好きです。」


……地味ってなんだよ!?

好きって気持ちだって、ちゃんとあるぞ!


……言えないけど。


…で、最後のは無理っ。


「…わぁ///。情熱的ですねー。」

「はい。でも、愛しているから…当然相手にもそれを望むというか…願いみたいなものです。」


そう言いながら弘樹を真っ直ぐに見つめると


「いやぁ〜ん。私、野分さんの期待に応えられるかしらぁ。」

そう言って体をくねる。


…いやいや…あんたも応えんでいいから。

…つか、初対面でここまで言ったら、普通ひくだろ…。



鈍感…っていうか

…図々しいっていうか


呆れて溜め息しか出ないぞ。


せっかく良い薫りのするコーヒーだったのに、それを味わう余裕もなく…そっぽを向いてそれを啜る弘樹だった。



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