変わり種

□■初夜■
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…あのへなちょこが僕に求婚して早1年…。



ふつうなら、何かしてくるものだろうと思う。


なのに、あいつは僕に触れては来ない…。



偶発的な事故のような…求婚…。

異世界から来たあいつに、この世界のしきたり等わかるはずもなく…


…だったら…断れば良かっただろうに。



あいつは、この国の…眞魔国の魔王なのだから。


いつか触れてくるだろうと期待して度々ベッドに潜り込んでいるのに、あいつはキスはおろか、指一本触って来ない。



「…ユーリ。」


名を呼んでも返ってこない返事…。

婚約者などという言葉も立場も名ばかりな僕…。



僕より遥かに年下のクセに…体躯はあまり変わらない。

甘ちゃんで…魔王の貫禄なんか「0」に等しくて…なんでコイツが誇り高き魔族の長なのか…それを自問自答して来た。


あいつの傍で、あいつを見てきて…あのへなちょこ魔王が、どれだけ人の心を惹きつけ…平和への糸口を探し、そして優しさに溢れた世界に導いて行く姿を目の当たりにするたびに…こんなにも惹かれて行く自分に気づく……。


………だけど、あいつは…僕が想う程…僕を想ってはくれていないんだろうな。


「…ユーリ…愛している…。」


あいつに伝えた事など一度もない。

きっと、これからも…伝える事はないかもしれない。





「へ…ぇ。初めて聞いた。ヴォルフラムでも、そんなこと言うんだな。」




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