今日からマ王!
□+暑い日は+
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「暑いーっ。」
例のごとくコンラッドと城を抜け出した眞魔国の魔王、渋谷有利は…初夏の日差しに手を翳し、澄みきった青空を仰ぎ見る。
「でも、陛下は夏が好きでしょう?」
護衛兼名付け親であるコンラッドは軍服を着ているのに…爽やかさは相変わらずだ。
「夏は好きだよ。でも、暑い…。」
魔王のトレードカラーの黒は、太陽熱を所構わず吸収していた。
「あーっ!もうダメ。」
ユーリは、学ランに似せて誂(あつら)えてある上着を脱ぎ、軽快な白いアンダーシャツのボタンを寛げると、
「…くすっ。少しは涼しくなりましたか?」
コンラッドは、上着を受け取りながら優しく笑う。
「うん。だいぶ違うよ。…コンラッドは暑くないの?。」
「まあ…暑くないと言えば嘘になりますかね。」
「…だろ?上着くらい脱げば?」
ユーリは、コンラッドの軍服のボタンを外し始めると、コンラッドはクスクスと笑い出した。
「な…なんだよ?なに笑ってんの?」
「いえ。陛下に服を脱がされるとは思わなくて…。」
「…え…///?。…あ…いや…そういうつもりじゃ……。」
「わかってますよ。」
コンラッドは、テレるユーリの黒髪にキスを落とした。
「…ユーリの髪も…暑くなってますね。」
「しょーがないじゃん。黒いんだから…。オレは、きっと太陽に焼かれてハゲるんだ。」
「ふふっ。そうならないように、あそこの樹の下に行きましょう。」
コンラッドの指の先には、大きな樹の木陰があった。
「涼しい。」
木にもたれかかり、ひと息ついたユーリに
「陛下、背中痛くないですか?」
「ん?……大丈夫だけど?」
コンラッドは、ポンポンと自分の膝をたたき、ニコニコしながら「ここへどうぞ。」と無言で促した。
「…暑いからヤダ。」
「でも、来て下さい。」
「なんで?」
「…陛下が誘うからいけないんですよ?」
「ベ…別に誘った覚えはないぞ…///。」
にじりよるコンラッドに、後退りするユーリだった。
「いえ。誘ってます…。はだけたシャツから…見えてますよ?」
「…へっ?」
ユーリは、自分の胸元を覗くと………確かに…中が丸見えで、あちゃーっと言った表情でコンラッドを見上げて苦笑いした。
「だから、言ったでしょ。観念してキスさせて下さい。」
「…なんか、キスだけじゃ済まない気がするんだけど…?」
「………それは…してみないと、何とも言えないですね…。」
「でっでも、キスより先は汗かくし…後の事が……ね?」
「抜かりはありませんよ。なんなら、あそこでキスの続きをしても…」
コンラッドの視線の先には、太陽の日差しを水面に映す美しい湖が広がっている。
「……準備がよろしくていらっしゃいますね。コンラッドさん…。」
「あたりまえです。愛するユーリの避暑を兼ねて、城を抜け出したんですからね。」
「……観念します。」
ユーリは、這ってコンラッドの傍に行くと啄むように口づけし、そのままコンラッドの膝に納まり背中を預けたのだった。
〔おわり〕
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