今日からマ王!
□〇〇と花粉症
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「ふぇ…っくしゅっ!」
眞魔国第27代魔王…渋谷有利のくしゃみに…、
「おやっ?陛下…風邪ですか?」
王様の護衛兼名付け親兼恋人のウェラー卿コンラートが声をかけた。
「陛下って呼ぶなよ。名付け親のくせに…っ…。……くしゅっ!」
「…やっぱり…風邪ですかね?」
2人は、やわらかな春の日差しの中…ユーリの乗馬訓練を兼ね、それぞれ愛馬に跨り遠乗りに来ていた。
「……いや…違うと思う…目とかも痒いし、花粉症かな…?」
「……カフンショウ…ですか?」
聞き慣れない言葉にコンラッドはユーリの顔を覗き込んだ。
「あー地球にあるアレルギーの一種で、くしゃみとか、鼻水とか、目が痒くなったりとか……っ…くしゅっ…」
「陛下。このあたりで…一端、馬を下りましょう。」
…さすがに馬上でのくしゃみは危険が伴う。
「うん。そうだな…」
2人は、馬から下りると手綱を手頃な木の枝にくくりつけた。
「陛下、大丈夫ですか?」
「うん。くしゃみだけだし…。…あとさ…」
「…なんです?」
「陛下って呼ぶなよ。せっかく2人っきりなのに………///。」
「くすっ…そうでした。ユーリ。」
コンラッドは、いつものようにユーリを抱きしめた…。
……ところが、ユーリは“いつもの…”が、気になったらしく、
「……なんか…オレたちって…ワンパターン?」
「…というと?」
首を傾げるコンラッドに……
「だってさ…、“いつものように”抱きしめて…“いつものように”キスをして…。なんか変わりばえしないっていうか…。」
「くすくす。…では、ユーリは、非日常な事をお望みで……?」
「…いや…別にそういうわけじゃなくて…。………コンラッドに飽きられないかな…って…ちょっと心配になっただけだよ……///。」
恥ずかしそうに頬を染めるユーリの姿に、一層愛しさを募らせるコンラッドは、
「…何を言い出すのかと思えば…。…俺は今のままでも十分に満足していますよ。毎日がとても楽しい。コロコロ変わるあなたの表情など…。」
片手で口元を抑えて笑いをこらえるコンラッドを見たユーリは…
「……笑いたいなら…我慢しなくていいんですよ…コンラッドさん…。」
…と、ため息まじりに答えた。
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