今日からマ王!
□○○とジュリア
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……それは
………コンラッドの寝言で始まった…。
情事のあと…つかの間の眠りについたコンラッドがユーリの耳元で…
「………ジュリア。」
ユーリは、ふわふわとした幸せな眠りの淵から、引き戻された。
…今…なんて言った…?
……ジュリア…って?
ジュリアさん?
ゆっくりと体を起こしたユーリは、コンラッドを見下ろした。
「……ユーリ?」
「…コンラッド。…今…なんて言った?」
「……俺…何か言いましたか?」
「とぼけんなよっ!…いっ今、ジュリアって言った!!」
「…言ったんですか?」
「そうだよっ!今っ!オレの耳元でっ!」
ユーリは、人差し指で自分の耳を突き刺す勢いだ。
「………ひどいよ。コンラッド…オレを抱いたあとでジュリアさんの名前呼ぶなんて…。…オレって…あの人の代わりなの?」
「なに言ってるんですかっ!そんなはずないでしょう!」
「…じゃあ、なんで…。ジュリアさんの名前呼ぶんだよ…。寝言まで言ってるくせに、とぼけるなんて…。」
「ユーリ、違います。」
「…オレ…あんたと……別れる。」
ユーリは、服を羽織るとベッドから出た。
「ユーリ、待って!」
コンラッドは、ユーリの腕を掴んだ。
「……離せよ。」
「………ユーリ。」
「…ウェラー卿、…その手を……離せ。」
ユーリは、瞳からこぼれ落ちそうな涙を必死に堪えながら、コンラッドの手を振りほどき…おぼつかない足どりでコンラッドの部屋を出た。
コンラッドは、“ウェラー卿”と呼ばれたことに、ユーリの強い拒絶の意思を感じて、あとを追わず…顔を片手で覆った。
「…なぜ…今になって……あの時のことを…。」
ユーリは、暗い廊下をペタペタと裸足で歩いていると、コンラッドの部屋を出るまで堪えていた涙が溢れるようにこぼれて来た。
「…大好きなのに…。ずっと…あんたしか見てなかったのに…。コンラッドは、ジュリアさんを見てたんだな…。……オレの中にある…ジュリアさんを……。なんか…すげー…ショックだ…。」
ユーリは、部屋に戻ると止まらない涙を枕に押しつけた……。
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