今日からマ王!

□〇〇の受難
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「ちょっと…そこの人」

「え?…オレですか?」

冬の街には、道路のあちらこちらに易者と呼ばれる占い師が現れる。

「そう…あなたです。」

一見怪しい感じがするが、白髪頭のおじいちゃんで

…更には、この寒空ときたら、ユーリは無視できるはずもなく…

「ここに座りなされ…」

促され仕方なく椅子に腰をおろした。

「あの…オレあんまり時間ないんで…。」

ユーリは、ポリポリと頭をかいた。

じつは、一週間前からコンラッドが地球(こっち)に来ていて、

片時も離れていたくないオレ達は、学校の帰りも公園までコンラッドが迎えに来てくれている…。



「お前さんの顔は…まぁ有り得ないと思うが、国を治めるという相が出ておる…。」

……もう治めてますが…


「…え?……あは…は……そんなわけないですよぉ。やだなぁ。」

「ワシも長くこの仕事をしているが…こんな相は初めてだ。」

………オレだって初めてだよ。占い師に視てもらうのも、こんな風に言い当てられてドキドキするのも…

おじいちゃんは、今度は手相を視始めて…

「あの…。」

「うーん。この手相は…生命線が…有り得ない。このようなことがあるのか?」

「なななんですかっ!?」

「ふつうに言えば…平均寿命が80歳として軽く4倍くらいある…」

…すごい。この人本物だぁっ!……でも…

「…い…いやだなぁ。…そんなはずない…じゃないですかぁ。有り得ないですよぉ。」

「そうなんだよ…。こんな事…ないはずなんだが……。」

相当…混乱しているようだ…。

「あああの…恋占いとかは…?」

いたたまれないユーリは話題をそらした。

「結婚か…。ふむ…。」

『それは、俺も興味がありますね…。俺と陛下を占ってもらいましょうか…?』

「うわっ!びっくりした。」

『すみません。待ちきれなくて…迎えに来てしまいました。』

コンラッドは翻訳機を装着済みだったが、会話が会話だけに魔族語を話していた。

『でも、このおじいちゃん…さっきから当ててばっかりだから…こわいな……。』

「学生さん、さっきから…何語を話しているのか、サッパリわからん。」

すっかり2人の世界に入っていたので、目の前の占い師をおざなりにしてしまっていた。
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