ロマンチカ

□+いつかきっと+
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「………いてて…。」

美咲は顔をしかめて体を起こした。


「美咲は隙がありすぎるんだ…。」


美咲の腰がガタガタになるほど抱いた後、怒鳴る恋人の頭をあやすように撫でる秋彦の手を払うと

「隙じゃねぇだろっ。ちょっと昼寝してただけなのに、のしかかって来やがったくせにっ…///!」


「無防備にソファに横たわっている美咲が悪い。てっきり誘っているのかと……。」

よろける美咲の体を支えながら、至極真面目な顔で答えた。


「……立ったまま寝ろってか?」

「…立ったまま…?…それも悪くない。」


なにを思ったのか、秋彦は形の良い唇に企みを含んだ笑みを浮かべた。


「なに想像してんだよっ!」

顔を真っ赤にする美咲の横で、

「別にー。」

と、涼しい顔で返事をする秋彦だった。



「……絶対に仕返ししてやる。」

「…お前が?。くすっ…楽しみにしてるよ。」

秋彦に軽くいなされ、

絶対やってやるっ!


………と、

心に決めたのは、つい先日のことだった。



ことある毎に機会を窺っていたが、未だチャンスに恵まれず…歯噛みする毎日だ。






「ただいま。ウサギさ……ん?」


そこには鈴木さんを抱き枕にしてソファで眠る秋彦の姿があった。



…これは

千載一遇のチャンスじゃないか?


「ウサギさん…?」

秋彦の耳元で呼んでみてが……返事は…ない。


美咲は確かめるように、鈴木さんに乗せていた秋彦の左腕を、そぉっ…と万歳させてみたが、色素の薄い長い睫毛はピクリともしない。

………お…起きない…。

まったくもって目を覚ます様子もなく、眉目秀麗な顔にだらしなく万歳した格好でスヤスヤと眠る秋彦の姿など、なかなかお目にかかれるものではない。



完全に熟睡モードですかっ!?



………どうしよう。

せっかく寝てるのに…起こしたら可哀相かな。



……いや、せっかく訪れた好機だぞ。

ここで逃す手はないんじゃないか?


…でも

寝起き最悪だしな…。暴れたら絶対適わない気がする。


……あ、起きても抵抗出来ないようにすれば…


なにかないかな…。


あれこれ、悩む美咲の目に留まったのは鈴木さんの胸を飾るピンクのリボンで…。


「…いいもの見つけた。」

ニンマリした美咲は鈴木さんの首に捲かれたピンクのリボンをしゅるりと抜き取ったのだった。




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