ロマンチカ

□星が降る夜に
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「…へぇ。今晩、流れ星がいっぱい見えるのか…。」


皿洗いをしながらテレビのニュースを見ていた美咲が独り言のように呟く。


眼鏡をかけた秋彦は、ソファにもたれて、ノートに何やらサラサラと書いていたが、



「美咲は、流星群見たことないのか?」


キッチンに立つ美咲にチラリと視線を移した。



「うーん。見たことないって言えば嘘になるけど…。テレビで見るようなヤツはないかなぁ。」


「…見に行くか?。」

秋彦は、ペンを置くとノートを閉じた。


「いいのっ?…あ…やっぱり…いいや…。」

美咲は、一瞬瞳を輝かせたが、また家事を再開した。


「なんで?」


「ウサギさん仕事中だろ。どうぞ、そっちを優先して下さいませよ。」




小さく溜め息をついた秋彦は、ソファから立ち上がり無言で階段を上がっていくと、自分と美咲の上着とブランケットを持っておりて来た。


「なに…どうしたの?オレ見なくていいし。」


ニコニコと笑う秋彦は、美咲の手を引き…

「俺が見たい。ちょっと付き合え。」


「へっ?ちょっ…ウサギさん待って…。オレ、まだ片付け中っっ!」


美咲は足をもたつかせながら、濡れた手をエプロンで拭いた。




………そして、ポンと車に放り込まれると、夜の街を抜けて…

ほとんど…いや…全く街の灯りが届かない山奥へと赤いスポーツカーは進んでいるのに、道は整備されていて…大きな振動が伝わることがなかった。



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