ロマンチカ
□ウサギとミサキとミズキ
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………いやだ。
…ウサギさん
………水樹さんを見ないで。
…微笑わないで。
………オレを見てよ。
「…っ。ウサギさんっ!」
「……美咲?…どうした…?」
秋彦の胸の中で目を覚ました美咲は、
「……。……え?」
体を起こした秋彦は美咲を覗き込む。
「夜中に大きな声を出したらびっくりするだろう。」
「…え?…あ…ご…ごめんっ……///。寝ぼけたのかな?」
自分の…ドキドキと波打つような心臓の音が、枕に押し当てた耳の中で鳴り響く。
「どんな夢見てたんだ?汗かいてるぞ。」
………言える訳がない。
「…な…なんだったかな?…つうか暑いからウサギさん、ちょっと離れてよ。こんな広いベッドなのに…くっつき過ぎなんだよっ。」
オレの体は、じっとりと嫌な汗かいている。
あんな夢…見たから?
「美咲、お前ヘンだぞ?…」
……するどい。
「……別に…ホントなんでもないし。…ごめんね起こしちゃって。…おやすみっ。」
秋彦から体を離した美咲は布団をかぶった。
…なんでウサギさんのベッドにオレが寝てるかって…それは……、
水樹さんが休暇中で、半ば強引にマンションに荷物を運び込んだから。
急に来た水樹さんを泊める部屋が準備出来なくて、急遽オレのベッドを使う事になった…。
水樹さんは、ウサギさんと一緒に寝ると言ったけど…
ウサギさんは、オレと一緒に寝るからと、オレのベッドを提供したのだ。
………そしてオレは…それを拒否しなかったんだ…。
…あの時、水樹さんはオレを見て小さく笑った。
………まるで…オレの心を見透かしたみたいに…。
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