ロマンチカ
□ウサギとミサキとワガママ
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それは…一本の電話から始まった…。
「はい。もしもし。」
『……あなた、誰?秋彦さんじゃないわね。』
「…はい。…えっと…」
『まぁいいわ。秋彦さんに代わってくれる?。』
「……あの。どちら様ですか?」
「どうした、美咲。」
電話の応対をヘンに思ったのか、ウサギさんが来た。
「あー…うん。秋彦さんいるか…って、女の人…。」
「……かして。」
ウサギさんは受話器を受け取り
「もしもし………。……久しぶりだな。……ああ、元気だよ。」
あまり感情のこもってないような話し方だけど…知ってる人なんだと、理解してオレは作りかけの夕飯の準備に戻った。
少しして……
「美咲。ちょっと出かけてくる。」
ウサギさんは…上着を羽織った。
「は?夕飯どうすんだよーっ!」
「わるいが、1人で食べてくれるか。」
「それは…いいけど。」
「…すまない。」
そういうと、出かけてしまった。
電話の人は……誰だったんだろう。
その日の夜遅く、ウサギさんは帰って来た。
どこか不機嫌な顔をしているウサギさん…
「ウサギさん…お帰り」
「ああ。ただいま。まだ起きてたのか?」
「うん。課題あったから…やってた。」
「……そうか。」
そう言うと、オレの頭をくしゃくしゃと撫でた。
………………あれ?
……いい匂い。
女の人の香り……?
ツキンと…胸が痛む。
…なんか……やだな。
「オレ…寝るね。」
「…ん?…ああ。おやすみ。」
オレは…階段を二段あがったところで、ウサギさんに声をかけた。
「……ウサギさん。」
「なんだ?」
「……いい匂いがする」
「…匂い?」
……全っ然気づかないことに…腹が立つ。
「おやすみっ!」
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