エゴイスト
□+甘い時間+
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+甘い時間+
バレンタイン拍手文
……聞こえてくるのは、シーツのこすれる音と…
弘樹の途切れ途切れに聞こえる…
……甘い吐息
「……っ…ぁ……んっ………///。」
「…ヒロさん…もっと………聞かせて。」
「…っざけんな……っ…う……はっぁ…あ……」
野分は、弘樹の腰を揺さぶり続け…
弘樹は、野分に好き勝手に中を抉りまわされ、与えられる快感に喘いでいた……。
「ヒロさん…。いやらしい…その声も…しなる肢体も…ヒロさんの仕草ひとつひとつが……俺の心を惹きつけて…離さない。」
「…てめぇが……一番いやらしいんだ…よ…っ!…ぁ……ちょっ!……待てっ…」
「…ヒロさん…ごめんなさい。久しぶりなので、あまり保(も)ちそうにありません…。」
「…っ!……おいっ…のわっ…」
弘樹の言葉を待たず、野分は律動を早め…弘樹の中で脈動と共に精を瀑ぜ…弘樹もまた、野分にひっぱられるように快楽の淵に落ちて行った……。
「…野分…。」
「はい?」
「病院からあんなにチョコ貰ってきやがって…」
「しかたないじゃないですか…。小児病棟の子供達がくれたものですよ…。それを断るなんて出来ませんよ。」
「…そりゃ…(違うのもあんだろっ!)……そうだけど。」
弘樹は心の中で、拳を固める。
…………野分は、バレンタインのこの日…両手に紙袋いっぱいのチョコを持って帰ってきた。
弘樹は、去年は買ったものをあげたので、今年は手作りに挑戦しようと、恥を忍んで手作りチョコセットを購入したのだった。
チョコを作り上げ、野分の帰宅を今か今かと待っていたのに、野分の両手にぶら下がっている紙袋には……
明らかに野分を慕う病棟の子達からじゃなさそうなものと共に…溢れんばかりにチョコが入っていた。
「ヒロさん、ただいまです。……え?…ヒ…ヒロさん?…どう…したん…っ」
「野分ーっ!」
怒り(嫉妬とも言う。)に乗じて袋をぶっ散らかした拍子に自分のものまでそのチョコの山に紛れ混ませてしまったのだった……。
2人は、似たような箱がある中、これぞ、という箱を片っ端らから開けて弘樹のチョコを探した。
「あ!これだっ!」
弘樹が見つけた時には、たくさんのチョコの包み紙とリボンがまわりに散乱していた…。
「あーあ。…ったく。…野分、手伝え。」
弘樹は、拾い集めるが、野分は感慨深げに、弘樹の作ったチョコを見つめていた。
「おい。野分、んなもんあとでいいだろ。」
「いいえ。ヒロさんが作ってくれたチョコですから…嬉しくて…。今、一個食べていいですか?」
「は?…ああ。…別にいいけど?」
野分は、チョコをひとつ口の中にいれた。
「くすっ。甘いですね」
「あ…あたりまえだろ。チョコなんだから。」
「ヒロさんも、ひとつ味見にどうぞ…。」
箱から、またひとつ取り出した野分は弘樹の口に入れた。
「……甘いな。」
「はい。甘いです。俺、嬉しいです。ありがとうございました。」
野分は、弘樹に顔を近づけ……キスをして……。
野分の腕の中でふわふわとした心地良さと共に今に至る…。
「ヒロさん…キスしてくれませんか。」
「な…なんでっ?」
「ヒロさんからなんて、めったにありませんし…今日はバレンタインですから…。俺のわがままですが…聞いてくれませんか?」
「…うっ///。…いっ…1回だけだぞ」
弘樹は、素早く野分に口づける…。
「ヒロさんのキス…甘い……。」
そういって、黒い瞳を細めた。
「あー、さっきチョコ食ったからだろ。」
「違いますよ。俺のヒロさんは、どこもかしこも……甘いんです。」
野分は小さく笑い…弘樹に口づけをおとした…。
[おわり]