エゴイスト

□日常。+おまけ+
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「日常。」+おまけ+





「ヒロさん。大丈夫ですか?…起きれます?」


「…ああ。」


弘樹をベッドに残し、朝食の準備をしていた野分は、ドアから顔を出し弘樹に声をかける。


弘樹は弘樹で、当番をサボってしまった事に罪悪感を感じていたので、多少無理をしてでも、平然を装い起きようとしていた…。


「よっこらしょ。」

爺くさいと思いつつも、これくらいの勢いをつけなければ、体を起こすことなど出来ないくらい、下半身はガタガタだった…。

「……っ。」


「…まだ、無理っぽいですね…。」

「いや…大丈夫だ。起きられる。」


「無理しないで下さい」

野分は、ベッドの上で体を起こそうと努力をしている弘樹を、地球の重力をまったく感じさせず抱き上げた………。

「お…おい。大丈夫だって…………///。」






「まだ、歩くの無理みたいですから、俺にまかせて下さい。」

野分は小さく微笑むと、弘樹を抱いてリビングに移動すると、そっとソファーに座らせ、そのまま台所に茶碗を取りに行った。

情けない…と思いつつ、手持ち無沙汰な弘樹の手が、テレビリモコンのスイッチを入れると、ちょうどニュースの時間だった。


『昨夜、〇〇町で自宅を全焼する火事がありました。』

「あれ?これって夕べの火事…?」

『子供が自宅内に取り残されましたが、通りすがりの男性2名が火の中に飛び込み救出したそうです。いや〜勇気がありますねーっ。』

「…なぁ。野分…これって…オレ等の事いってんのかな…?」

『その人達は名も名乗らず立ち去ったそうです。…ここで、救出されたお子さんから、コメントが入っています。』

「…野分。なんかオレ…嫌な予感がする…。」

「えー?ヒロさん、今、なんか言いました?」


『おっきいお兄ちゃん、ちっちゃいお兄ちゃん、ありがとう。幸せになってねー。』

「〜〜っ!野分っ!ちょっと、こっち来いっ!」


「ヒロさん?…なに怒ってるんですか?」


ゴキン!

近づいてきた野分をひっつかまえると、思いっきり拳を振り下ろした。


「い…痛いです。どうしたんですか?」


「うるせえっ!てめぇのせいで、全国放送されちまったじゃねーかっ!」

「なんの事ですか?」


「……な…なんでもねー………///。」

「なんですか?…気になります。」


「なんでもねーつってんだろ。」

「教えて下さい。」

「いやだっ!」


ちゅっ。

「…ヒロさん。幸せになりましょうね。」


「…てめっ!聞こえてんじゃねーかよっ!」


ちゅっ。

「…ヒロさん…愛してます。」

「………///。わかってるから何度も言うな…。」



……これも


………いつもの日常。





 

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