エゴイスト
□日常。+おまけ+
1ページ/1ページ
「日常。」+おまけ+
「ヒロさん。大丈夫ですか?…起きれます?」
「…ああ。」
弘樹をベッドに残し、朝食の準備をしていた野分は、ドアから顔を出し弘樹に声をかける。
弘樹は弘樹で、当番をサボってしまった事に罪悪感を感じていたので、多少無理をしてでも、平然を装い起きようとしていた…。
「よっこらしょ。」
爺くさいと思いつつも、これくらいの勢いをつけなければ、体を起こすことなど出来ないくらい、下半身はガタガタだった…。
「……っ。」
「…まだ、無理っぽいですね…。」
「いや…大丈夫だ。起きられる。」
「無理しないで下さい」
野分は、ベッドの上で体を起こそうと努力をしている弘樹を、地球の重力をまったく感じさせず抱き上げた………。
「お…おい。大丈夫だって…………///。」
.
「まだ、歩くの無理みたいですから、俺にまかせて下さい。」
野分は小さく微笑むと、弘樹を抱いてリビングに移動すると、そっとソファーに座らせ、そのまま台所に茶碗を取りに行った。
情けない…と思いつつ、手持ち無沙汰な弘樹の手が、テレビリモコンのスイッチを入れると、ちょうどニュースの時間だった。
『昨夜、〇〇町で自宅を全焼する火事がありました。』
「あれ?これって夕べの火事…?」
『子供が自宅内に取り残されましたが、通りすがりの男性2名が火の中に飛び込み救出したそうです。いや〜勇気がありますねーっ。』
「…なぁ。野分…これって…オレ等の事いってんのかな…?」
『その人達は名も名乗らず立ち去ったそうです。…ここで、救出されたお子さんから、コメントが入っています。』
「…野分。なんかオレ…嫌な予感がする…。」
「えー?ヒロさん、今、なんか言いました?」
『おっきいお兄ちゃん、ちっちゃいお兄ちゃん、ありがとう。幸せになってねー。』
「〜〜っ!野分っ!ちょっと、こっち来いっ!」
「ヒロさん?…なに怒ってるんですか?」
ゴキン!
近づいてきた野分をひっつかまえると、思いっきり拳を振り下ろした。
「い…痛いです。どうしたんですか?」
「うるせえっ!てめぇのせいで、全国放送されちまったじゃねーかっ!」
「なんの事ですか?」
「……な…なんでもねー………///。」
「なんですか?…気になります。」
「なんでもねーつってんだろ。」
「教えて下さい。」
「いやだっ!」
ちゅっ。
「…ヒロさん。幸せになりましょうね。」
「…てめっ!聞こえてんじゃねーかよっ!」
ちゅっ。
「…ヒロさん…愛してます。」
「………///。わかってるから何度も言うな…。」
……これも
………いつもの日常。
.