エゴイスト
□返り討ち
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「野分。布団干すから、あっちで寝てくれるか?」
夜更けに帰宅した野分は、“ただいまのキス”をして…そのまま眠りについた。
いつもなら、ベタベタとオレに絡みついてくるのに、夕べは相当疲れていたらしく布団に潜り込むと、ほどなくして寝息をたててしまったのだ。
……オレは、と…いうと………少なからず期待していた部分があって…
少しだけ、熱を持った自身を理性だけでなんとか鎮めた。
ベランダのサッシを開けて透き通った風を入れると、冷たい空気に晒された野分は薄く黒い瞳を覗かせた。
「ヒロさん。おはようございます。」
「わりぃな。でもさ、すげーいい天気だから…干さなきゃ損するような気がして…。」
「…あ、いえ…大丈夫です。夕べ、ヒロさんの寝顔見てたら、そのまま寝ちゃったみたいで…。」
………何気に…見られてたか?
「…なんか…寝顔が色っぽくて…ずっと見入ってしまいました。」
…気づいてたのか?
「…野分。布団干すから…早くそこどけ…。」
知ってて、見てたわけじゃないと思うけど…
……恥ずかしい…///。
のそのそと起き上がった野分をとなりの部屋に押しやり、
ベランダに布団を並べ…ポンポンと軽く叩いた。
オレは今…赤面しているかもしれない…。
それに気づかれたくなくて、ひんやりとした空気に自分の頬をさらした。
「ヒロさん?。どうしたんです?…風邪ひきますよ。」
なかなか、中に入らなかったためか、野分が顔を覗かせた。
「いっ…いや、空気が澄んでて、気持ちいいなと思ってさ…。」
「ダメですよ。中に入って下さい。」
野分は、オレの腰に腕をまわすと、強引に引き寄せ抱きしめる…。
「…ほら。こんなに冷たくなってる…。ヒロさん…熱出しやすいですから…気をつけて下さい。」
「…お前は、オレを甘やかし過ぎだぞ…。オレの体は生来丈夫に出来てる…。」
「はいはい。わかりましたから…。中で話しましょ…。」
ヒョイと、持ち上げられて家の中に引き込まれた…。
「お…おい。コラっ!お前はまだ寝てろって。夕べ遅かったろ。」
「…でも。今日は遅番だし、寝る時間はたっぷりありますから…。」
そういうと、オレの首筋にキスをした。
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