エゴイスト

□寒い夜に…
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………野分には、冬になると、必ず着ると言っても過言ではない定番の黒いセーターがある。


もう…何年も着ているから、やや色褪せた感があるのだが…。


「なぁ、野分。セーターそろそろ買い換えたらどうだ?」

野分が物を大切にするヤツだということは…わかっているが…。


「…えっと…、まだ着れるので…。それに、これ結構気に入ってるんです…。」

…野分は…ちょっと悲しそうな顔をした。


「ふーん…。オレが着るわけじゃないし…。物を大事にすることは、いいことだよな…。」

一応理解を示したオレに

野分は、小さく笑って頷いた。










……次の日……。

2人とも休みだったが、例の如く病院から呼び出しが来た。



「ヒロさん、すみません…。」


「いいから、行ってこい。仕事頑張れよ。」

「はい。行ってきます」

いつもとは違い…野分は珍しく慌てて出て行った。


あとに残されたオレは、自然と溜め息が出てしまう。

「さてと…あいつもいないし、掃除でもすっか…。」


オレも家事一般は、ひと通りこなすものの…野分のようにはいかない。


それでも…少しだけでもやっておけば、野分が帰って来ても少しは楽なはずだ…。


そんな事を思いながら、朝食の片付けをした。



リビングで掃除機をかけようとした時、野分のセーターが置きっぱなしになっているのを見つけた。


今朝…着ていたが、呼び出されて着替えたまま置いていったものだ……。


何気なくセーターを掴んで広げると…さすがにデカい。

あいつは身長が高いわりに、バランスのとれたキレイな体をしている……。


………そんなことを考えていたら、体を重ねている時に野分が上からオレを見る姿を思い出し…

…………///。

……1人赤面した。






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