エゴイスト

□何度でも…。
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…ここは病院だから…あたりまえのように、いろいろな人が運ばれて来るけど…

………時には、絶対に来てほしくない人が運ばれて来ることがある……。




「救急隊から頭部に受傷した人を搬送すると連絡がありました。20代男性…。氏名…上條弘樹。意識なし。受け入れの準備をして下さい。」

たまたま、診察で来ていたERで耳を疑うような情報が入る。


…俺は、その名前を聞いて茫然とした。

……上條…弘樹?

「なぁ。野分、上條…って…お前んとこの同居人じゃ…って、おい…野分っ!」

津森先輩に話しかけられても……答えることもなく…


俺は走り出していた…。

ヒロさんでないことを願って……。

俺がついた時には…救急隊がその人を乗せたストレッチャーを降ろしていた。

冷たい汗が背中をつたい……

自分の重苦しい鼓動が身体を震わせる。




それは…額から出血の跡がある見慣れた横顔…


「ヒロさんっ!」

「野分っ、落ち着けっ」

「ヒロさんっ!ヒロさんっ!」

パチンっ!

「おい。落ち着けって、野分。…お前が騒いだところで、しょうがないだろ…。脳外科のドクターに任せとけ。……な。」


……津森先輩の平手打ちと宥(なだ)めるような言葉に、俺は、ハッとする。

「すみません。…俺…とり乱して…。」

「…ったく、お前もこんな風になるんだな……初めて見たぞ…。って、話聞けよ!」

先輩の話が、頭に半分も入ってこない。

「…あ、すみません。ヒロさんが心配で…」

津森は、小さくため息をつく。

「………まぁ、ざっと見た感じじゃ…今どうこういうもんじゃなさそうだ……。」

「でも…。」


「だーっ!わかった。なんかあったら知らせてやるから診察行ってこい」

「…はい。…お願いします。」



ヒロさんは、どんな時でも俺がしっかり仕事が出来るように…バックアップしてくれる。

…だから。

…俺は、それに恥じない仕事をする…。


…ヒロさん

……あとで…病室で会いましょうね。





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