エゴイスト
□好きの進化系
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「さぁ、上條先生、遠慮しないで飲んで下さいよーっ」
ビール瓶片手に、いい感じで酔っ払った学生が絡んでくる。
「オレはいいから。お前らは、好きに飲んだらいいだろっ!」
「え〜。日頃お世話になってるんですからぁ〜。たくさん飲んで下さいよぉ。」
………最悪だ。
なみなみと注がれたコップを眺めて、オレは溜め息をついた。
こいつらは、オレが顧問をしているサークルの学生達だが、みんな、めっぽう酒に強い……。
さっきから、浴びるように飲んでるのに、ケロッとしている。
「はい。先生飲んで。」
ニコニコしながら、お水の花道よろしくサークルの女の子にすすめられ、
ここで飲まなきゃ、男が廃るとばかり、仕方なく飲み干してみたものの、
結構酔いもまわって来ていた…………。
「すごぉい。先生。」
………褒められたって嬉しくない。
今日は、野分が久しぶりに帰ってくるというのに……。
オレは、時計をチラリと見て、時間を確認する。
……そろそろ、あいつも帰ってくる時間だ。
ピロロロロ…
「誰のだぁ?鳴ってんぞぉ。」
…………オレのだ。
しかも、野分だ。
「……もしもし。」
『あ、俺です。』
「きゃー、先生。彼女ですかぁ?」
「なっ。なに言ってんだ……///。違うっ!」
「だって、赤くなってるぅ。」
「うわっ!鬼の上條と言われる先生が!?マジでっ」
「………おい。お前ら…いい加減にしろ。今すぐ、単位剥奪してやってもいいんだぞ?」
地を這うような、一言に学生達が押し黙る…。
オレは、学生達を黙らせ席を立った。
「……わりぃ。もう、家に帰ったのか?」
『はい。ヒロさん、今どこですか?』
「あ、…っと…。大学の近くの居酒屋…。何だっけ……ん〜と……。」
…出てこない…酔っ払ってんのかな。店の名前は……
「あ、そうだ。“居酒屋ドンと来い”だ。」
『迎えに行ってもいいですか?。』
「は?なんで?」
『酔ってるみたいなんで…。』
「まぁ…酔ってるっちゃ酔ってるけど…帰れなくなるほどじゃねぇぞ?」
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