エゴイスト
□予約
1ページ/7ページ
「……ただいまです。」
「おかえり。野分、飯出来てんぞ。」
「あ、はい。」
どこか、気の抜けた野分の返事に、弘樹は首をひねる……。
いつもなら、「おかえりのキス」とか言うのに…
「……?野分?なんかあったか?」
ピクンと野分の肩が小さく揺れた…。
オレは、それについて問うつもりもなかったので、あえて気づかないふりをした。
………なのに、
………ここ何日か、野分の様子がヘンだ。
もの思いにふけったり、
溜め息をついたり、
どこか……遠くを見ていたり…。
そして、明らかにオレに触れて来ない。
……触れようとしない。
オレなんかしたっけ…?
別に、ナニをしたいわけじゃない……。
…ただ、いつもベタベタして来る野分が、して来ない事に……物足りない…だけだ……。
………オレも、こんな事を考えるなんて…相当野分にのめり込んでんのか?
.