エゴイストU
□夜長。
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+夜長+
野分に最後に会ったのは…いつだったか。
病院とバイト…たまに帰って来ても、今度はオレがいない。
すれ違いの生活ってのは…こんなもんだ。
今に始まった事じゃない…。
それでも、どうにも疼くことがある。
“…野分が欲しい…”
…体が欲しがる。
野分がいれば、必ずと言って良いほどオレを求めてくれるけど、
野分がいなけりゃ、触るやつもいないから…
体に欠陥でもない限り…自然に溜まっていくのは…男の性(さが)ってやつか…。
「……。ダメだ。今日は抜いて寝よ。」
ベッドにもたれて、ふぅ…と小さく呼吸して、
そっ…と、自身に手をのばし指を絡めてみる。
ピクンと反応し、硬くなっていくそれを軽く扱くと、ますます形がはっきりしてくる。
「……っ…はぁ…。」
…あ…もうちょっと…かも………///。
…って
………あれ?
…い…イけない?
そういえば…しばらく自分でするなんて事なかったか?
「……っん………。」
…どうやってたっけ?
どうやって達してたっけ……?
別に…今までと…やり方を変えた訳じゃないのに…。
…………。
……盛り上がったのに…ここまで来て盛り下がるって…
…うー。…半端で逆に苦しい…。
ヴーヴーヴー
「うわっ!びっくりしたっ。電話か…」
携帯を開くと…野分だった。
「も…もしもし?」
『ヒロさん?俺です。』
………野分。
「な…なんだよ。急に電話よこすなんて…」
『今、仮眠室なんです。少し時間あるので、声が聞きたくて…』
……野分の声
現金なことに…半端な感じだった芯が、新たに熱を持ち…オレは苦笑いするしかなかった。
『今…何してましたか?』
……野分。
…お前の声を聞くだけで…こんなにも体が熱くなる。
「なっなにって、寝ようとしてたんだよっ。つうか、今何時だと思ってんだ。」
『…すみません。少し話がしたかったんですが…ごめんなさい。切りますね…。』
「…いや。待て…。別に眠いわけじゃねぇから…いい。」
『…そうですか?』
………声を聞きながら、自身を擦る自分の手を見ながら…
何も知らず話しかける野分に罪悪感を感じる。
『ヒロさん?………何してるんです?』
「……っ///。…なっ…なにもしてねぇよ…。」
『……あの。…アレしてるんじゃないですよね…?』
…………こいつはっ!
どっかに隠しカメラでも仕掛けてんじゃねぇだろうなっ!?
「んなわけねぇだろっ!…なんでそんな…。」
『ごめんなさい。…声が……なんとなく…そうかなって…。そんなわけないですよね。』
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