ロマンチカU

□美咲と野分の事情
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「高橋君、そこのお皿とってくれるのかな?」


野分は、フライパン片手に食器棚を指差した。

「はい。えっと…これでいいですか?」

食器棚から、皿を取り出した美咲は野分に皿を見せて確認する。


「ええ…それです。ありがとうございます。」


野分は、並べられた皿に春キャベツと新じゃかのスパゲティを手際良く盛り付けていく。



「ぅわ…///。スゴく美味しそう…。草間さん、お料理上手なんですね。」

「そんなことないですよ。高橋君が作ったカルパッチョ、チャービルが良い感じで味を引き立ててました。あとでレシピをぜひ伝授してくださいね。」

そう言って野分が優しい笑みを向けると、

「そんな…///。でも嬉しいです。…あの…オレも、このパスタの作り方教えて欲しいんですけど…。」

と、満面の笑みを返す。






そんなほのぼのしたキッチンの2人と対照的なのは、リビングで料理を待つ秋彦と弘樹で…。


「………おい秋彦…。」



新聞片手にソファーで寛(くつろ)いで見せる弘樹は、眉間に何本ものシワを寄せる秋彦に声をかける。


「…なに…?」


不機嫌オーラを隠すこともなく、ぞんざいな返事を返す。

「………お前さ…タバコ吸わねーなら、それやめろよ。」


弘樹が指さすのは、ポキンと折れたタバコの山で…。

「…………。」


黙ったまま、またタバコを取り出した秋彦は、今度こそ火をつけた。



小さなため息をついた弘樹がキッチンに視線を移すと

「………っ……!?」

秋彦より深いシワを刻んだ。


ちょうど、野分が味見とばかり…両手の塞がる美咲の口に数本のパスタを運んでいた。


「あっ///。このパスタ…思ったより塩味がハッキリしてますね…。作ってる時、塩少なめに見えたんですけど…。」


「ええ。アンチョビって塩味がキツいでしょ?だから、味付けの塩を少なめにしたんですよ。」


すごい…と、瞳をキラキラさせる美咲の表情に思わず立ち上がろうとした秋彦より先に、


「…秋彦…ワイン飲むか?」


弘樹が立ち上がった。







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