今日からマ王!U

□〇〇とスリルな夜
1ページ/14ページ





「…っ…いてっ!」


血盟城近くの森へ散策に来ていた眞魔国の魔王渋谷有利は、不覚にも異世界でニャーと鳴く手のひらサイズのドラゴンに噛みつかれてしまった。

茂みの中で、子猫のようなか弱い声で鳴いていたドラゴンの子とはいえ、もともと野生の亜種…オマケに親とはぐれて気が立っていたのか、手を差し伸べたユーリに噛みついたのだ。


「陛下っ!大丈夫ですかっ!?」

名付け親であり、恋人でもあるウェラー卿コンラートは、血相を変えて血が滲むユーリの手をとり傷口を確認した。

「大丈夫だよ、コンラッド。大したキズじゃないし…。」

ユーリは、コンラッドの慌てぶりに苦笑する。


「…いえ。このまま眞王廟へ行きましょう。」


「な…なに?コンラッド…なんでそんなに慌ててんだよ?」

「いいから早く…いや…俺が抱いて行きます。」

そう言って軽々と抱き上げたコンラッドは、愛馬ノーカンティーにユーリを乗せると、

「ユーリ、少し飛ばしますから…」

「…あの…コンラッド?」

「いいですか?しっかりつかまっていて下さい。」

有無も言わさず、コンラッドは手綱を握りしめる。


「え?あ…ぅ…うん。」

小さなドラゴンの子に噛まれただけなのに、なぜそんなに焦っているのかと思いつつもコンラッドに気圧(けお)されるように返事をしたユーリは、言われた通りコンラッドの胸元にしがみついた。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ