今日からマ王!U
□〇〇とスリルな夜
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「…っ…いてっ!」
血盟城近くの森へ散策に来ていた眞魔国の魔王渋谷有利は、不覚にも異世界でニャーと鳴く手のひらサイズのドラゴンに噛みつかれてしまった。
茂みの中で、子猫のようなか弱い声で鳴いていたドラゴンの子とはいえ、もともと野生の亜種…オマケに親とはぐれて気が立っていたのか、手を差し伸べたユーリに噛みついたのだ。
「陛下っ!大丈夫ですかっ!?」
名付け親であり、恋人でもあるウェラー卿コンラートは、血相を変えて血が滲むユーリの手をとり傷口を確認した。
「大丈夫だよ、コンラッド。大したキズじゃないし…。」
ユーリは、コンラッドの慌てぶりに苦笑する。
「…いえ。このまま眞王廟へ行きましょう。」
「な…なに?コンラッド…なんでそんなに慌ててんだよ?」
「いいから早く…いや…俺が抱いて行きます。」
そう言って軽々と抱き上げたコンラッドは、愛馬ノーカンティーにユーリを乗せると、
「ユーリ、少し飛ばしますから…」
「…あの…コンラッド?」
「いいですか?しっかりつかまっていて下さい。」
有無も言わさず、コンラッドは手綱を握りしめる。
「え?あ…ぅ…うん。」
小さなドラゴンの子に噛まれただけなのに、なぜそんなに焦っているのかと思いつつもコンラッドに気圧(けお)されるように返事をしたユーリは、言われた通りコンラッドの胸元にしがみついた。
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