今日からマ王!U
□〇〇頑張る
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「……陛下。…少し…よろしいでしょうか?」
魔王の部屋の扉を開けることなく、王佐ギュンターが伺いをたてる。
「……うん…いいよ。ギュンター、入って…。」
「失礼致します…ユーリ陛下。」
ガチャリと開いた重い扉の向こうには、悲しげに笑うユーリが佇(たたず)んでいた。
「くすっ。…やっぱり…白鳩便で送られて来た情報に間違いなかったんだね。」
ギュンターの翳りのある表情にユーリが短くそう問うと
「…はい。」
ギュンターは、スミレ色の瞳を静かに伏せた。
「…そっか。」
「…コンラートのことです…きっと無事でいてくれるはずです。」
「うん。そうだね…。」
ユーリはそう言って小さくこぶしを握りしめた。
眞魔国の王、渋谷有利の恋人…ウェラー卿コンラートが、敵対する大シマロンへ旅立ったのは、つい先日のこと…。
そもそも…なぜコンラッドがシマロンへ向かったかといえば…
大シマロンの国で、人間と魔族の間に生まれた人々が迫害を受けているという情報があったから…。
その人々を水面下で救出するための作戦にコンラッドは自ら志願したのだ。
そのコンラッドが、出立して何日もしないうちに行方不明になったと知らせがあった。
………コンラッド…必ず助けに行くから…無事でいてくれよ。
ユーリは、遥か遠いシマロンの空に向かい祈るのだった。
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