変わり種

□◆祝賀◆
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野分は、時計の針にチラリと目をやると…


「じゃあ…俺、そろそろ失礼します。」


「えっ?…ちょっ…待って下さい。今、これ玄関に置いたらお茶いれますから…。」


大きな花瓶を持ち、いそいで玄関へと向かう。


「あの…もうお暇(いとま)しますので。」


美咲の後を追うように玄関に足を向ける。



「…いやいや。お茶だけでも…。」

「ホントにお構いなく…。」



ピンポーン。


「…あれ?お客さん?」


花瓶を玄関先に置いた美咲がドアを開け、


「…はーい。どちらさ……っ!。…げっ!?」


「……ん?…誰だ…お前。」

声の主は、部屋を間違えたのかと表札を見直した。


「かかか…上條先生!?」

先に驚きの声を上げたのは美咲だった。


「…ヒロさん?」


………えっ?


美咲は、再び驚いて後ろを振り返り野分を見る。


「…げっ!?…の…野分!?」


……はい?


なに?…知り合いっ!?

美咲は、また弘樹の方を振り返り…


3人はそれぞれに驚き…そして…固まった。


「ななな…なんでお前がここにいるんだよっ」


「ヒロさんこそ…。…あっ…宇佐見って…あの宇佐見さん!?」



野分は迂闊だったと顔をしかめる。



…………なに?…なになになに!?


草間さんウサギさん知ってる?

「ここは、秋彦んちだよっ!…つうか、そこのお前っ。大学で顔見たことあんぞっ!うちの学生だろっ!…なんで秋彦んちにいるんだよっ!」


「…えっ!?……あっ…と…その…。」


ひぇー!どどどうするオレっ!




「なんだ…うるさいぞ。花屋は帰ったのか?」



秋彦が、顔を覗かせると

「ウサギさんっ!?」
「秋彦。」
「…宇佐見さん。」


三者三様に声をあげる。



「…………ん?」


くわえタバコの秋彦は、ひとり首を傾げた。





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