変わり種

□◆祝賀◆
4ページ/17ページ




美咲は中に入ると、まず秋彦がいないか確認し…


「この家の主は、居るには居るんですが…仕事中で部屋に籠もってて。」

そう説明しながら、野分を招き入れた。





「すみません。……これなんですけど…。」


多量に置かれた花束を指さすと、さすがに野分も驚いた表情を見せた。


「……スゴいですね。」


「…でしょ?」


美咲は、そう言って肩を落とす。


「…まぁ…とにかく始めましょう。…美咲君、悪いんだけど花瓶を準備して…花束は包装紙から外してくれますか。」


「はい。」


美咲は、野分に言われた通り水を入れた花瓶を運んでくる…。





メッセージカードのついたものは、カードを外しポケットにねじ込み…包装を解いて野分に手渡す…。


野分は、それを次々選別しながら水揚げしていく。

時折、見よう見真似で手伝う美咲にアドバイスし、テキパキ作業を進めていった。



ただ、量が半端でなく花瓶に入りきれず、予想通り余ってしまった。



「…美咲君、花瓶まだありますか?」


「もう、今ので最後です。…あのご迷惑でなければ残っているやつ貰ってくれませんか?」


「えっ?これをですか?そんな…いただけませんよ…。」


「いや…是非ともお願いします。もったいないし…。」



野分は、しばし黙り込むと…


「……さすがに、この量は無理なので、病院…とかに寄付しちゃったらどうでしょう。」



「それ、名案ですね。そうしましょう。」


美咲は、ひとつの花束も無駄にすることなく…かつ、喜んでもらえそうな所に引き取ってもらえるなら…と素直に喜んだ。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ