エゴイストU
□E黒の瞳
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「……はい?」
「…あのやろ…。“僕はこの業界にいて、こういう類の恋愛話は耳年増なとこあるから、いつでも相談にのるよ”って開き直ったんだ。」
ふんっと、鼻を鳴らし不快感を現した。
「…彼の…精一杯の意地ですね。」
野分は困ったように笑い…
「ヒロさん…帰りましょう。」
「…あいつ…大丈夫かな…。」
「大丈夫です。だってライルさんがいますから…。」
「…ふーん。」
「それに、ヒロさんの体も調べなくてはいけませんから。」
「は!?…なに…調べるって…?」
そんな事をされる覚えはないと、弘樹は顔をあげた。
「だって、さっきのあの状況…何もされてないとは言い切れませんから。体を傷つけられてないか、しっかりと確認しなくては…。」
ヨレヨレとした弘樹のシャツの襟を指で摘んだ野分は、そう言うともう一度襟を整え、弘樹に羽織らせた上着のボタンを綴じた。
「ばかやろ…///。何もされてねぇってっ。」
「でも、キスはされたはずですよ?」
野分は、弘樹の顎をあげ、唇に残る小さなキズをペロリと舐める。
「こっ…///、これは…不可抗力でっ!」
「…痛くないですか?」
野分は、そっと弘樹の唇を指で撫でた。
「だ…大丈夫だから…っつうか…悪かったな。また心配かけちまった。」
そっぽを向くようにして、顎をポリポリと指で掻く弘樹の姿に…野分は黒い瞳を細め、弘樹の頭に手をやり自分の胸に引き寄せると、
「…いえ、俺が悪いんです。あの時、ヒロさんの手を掴んでいるべきだったと…。俺さえしっかりしてれば、ヒロさんを危ない目にあわせる事はなかったのに。」
「…アホか。んなことねぇよ。野分…ありがとな。」
野分の背中に腕をまわし、あやすようにポンポンすると…それに応えるように軽く抱きしめたのだった。
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