エゴイストU
□夜長。
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………電話から聞こえる野分の声は、鼓膜を直接くすぐるように響いて…
…そばに居るみたいだ。
「…野分…話せよ。」
携帯を片手に、自身に指を這わせ…薄暗い部屋の中でジワジワと湧き上がってくる感覚に…危うく声を上げそうになる。
『…ヒロさん。ヒロさん好きです。』
…静かに目を閉じれば
…オレを抱(いだ)く野分が、傍にいるみたいでトクトクと波打つような心臓の音…。
「……お前…そればっかな…。」
『ヒロさんに…会いたい。』
「まあ、そのうちバッタリ会うんじゃねぇか?家ん中とかでさ…。」
『くすっ。……そうですね。』
オレ達は、なぜかいつもより声をひそめながら話だした。
『ねぇ…。ヒロさん。俺したくなっちゃいました。』
…オレは、もうしてるけどな。
『…ヒロさんは…したくないですか?』
「…なにを?」
………もう…わかってる
『…ヒロさん。自分のに触れてみて下さい…。なんだか…わかりますよね?。』
「……もう触ってる。」
………なにがしたいか…。
『…良かった。俺もです。』
「…うん。」
『目を閉じて…ゆっくり…扱いてみて下さい…。俺がいつもしてるみたいに…。』
………野分がいつもするみたいに…。
野分の大きくて暖かい手は…オレのを包み込んで……緩やかに指を滑らせる。
『濡れてきたでしょ?』
「……う…ん。」
野分の声に侵されていくように…徐々に反り勃つ自身を緩く扱いている手が、もう自分だけの手ではないよう錯覚をおこす…。
『ヒロさん。愛してます…。』
耳腔に、じわりと伝わってくる野分の声に反応するように…オレの芯は更にグンと硬さを増し…先走りも溢れて、くちゅくちゅと…いやらしい音をたてはじめていた…。
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