エゴイストU

□素材。
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本屋の帰り道、オレの前を行く見慣れた後ろ姿を見つけた…。


…野分?。


…なんだ…今日遅くなるとか言ってたのに、いつもより早いじゃねぇか。

…って、おいっ!どこ行くんだっ!



野分は、いつもの帰り道から逸れて建物の角を曲がってしまった。



「野分のやつ、どこ行くんだ?」


オレの知ってる限りでは、あっちにあいつのバイト先は…ない。


自然と野分が行く方向に足が向いてしまう。


……頭の中は、行くなと言っているのに、体がいうことをきかないのだ。



野分は、キョロキョロと辺りを見まわすとテナントが何件かある小さなビルに入って行った。



…なんか挙動不審だぞ?


そのあとも、スタイルの良い長身の男達がちょこちょこ入って行く。


………怪しい。




…気になる。


……気にはなるが、ここにこうしている自分が、一番怪しい存在になってきたような気がする…。




「…まあ…野分のやることだから、心配はしねぇが…。」




……でも

オレに隠れて何かしてるって事が…気に入らない。


「野分のやつ…帰ってきたら、問い詰めてやる。」


………いや…まてよ。…それじゃあ、オレが後を付けたのバレバレじゃねぇか。



いやいや…これは偶然だし…。





「ねえママ…あのひとヘンだよ。フシンシャっていうひとかな?」




…………まずい。


…通りすがりの子供に指摘され、ひきつった口元を手のひらで隠したオレは…その場を離れた。







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