エゴイストU
□素材。
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………結局
講義以外は、悶々と一日中過ごし…
「…くそ。イライラする!」
オレは、憂さ晴らしに本屋へ立ち寄った。
そこには、前回来た時に、買おうと思っていた一冊の本があった。
…野分に…買ってやろうと思っていたヤツだ。
難病を持つ子どもの心理について書いてあるもので、ざっと目を通したが内容がなかなか良いものだった。
買おうと思ったけど、自分の本を買った後で…持ち合わせの現金では少し足りなかった。
値段が、そこそこだったから絶対売れないと思っていたのに…。
……ない……?。
………最悪。
…なんだろ。日常が上手くまわらないってのは、こういう事にも影響すんのかな。
本を注文出来るか本屋の店主に聞こうとすると、その店主の後ろに、あの本が…。
「あの…そこにある本…。」
オレが指で指し示すと、
「あーこれね。予約なんですよ。一週間限定なんですけどね。必ず買いに来るからって…。期限が過ぎたら、また棚に戻しますから…。注文しようにも、限定版で…。あとは、ちょっとねぇ…。」
「ちなみに…いくらなんです?」
「ちょっとね…言いづらいんですけど…。」
と、店主は人差し指を立てた。
…っ!
じゅっ…10万!?
…この間見た時は、…六千ちょっとだったような…。
これは、少し考えものだ…。
……あきらめるか?。
でも、野分のためには役に立つような気がするし…。
………って、オレ!
なんでアイツのために本買ってやらにゃならんのだ。
そもそも誰のせいで憂さ晴らしに来てんだっ!
………それなのに、
…それでも…。
「…あの…その本、もし先客が買いに来なかったら、オレが買います。」
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