エゴイストU
□素材。
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野分は、その日の夜…オレを抱いた。
考えたくはなかったが、頭をよぎった“浮気”の二文字は、キレイサッパリ払拭してくれるくらいの抱きっぷりだった。
………じゃあ…なんだ?
…なんで、こんなに不安なんだよ。
めったに見ることのない野分の寝顔…。
ほとんど、オレの方が先に眠って(いや…眠らされて)しまうから…。
…野分のやつ……すごく疲れた顔してる。
…今やってるバイトの他に…何かやっんのか?
ただのバイトなら…オレに言ってくれたって…。
…もしかして、オレに…い…言えないような事してんのか?
次の日、いつもと何ひとつ変わらない朝を迎える…。
………ただ
出掛ける間際に言った野分の言葉以外は…。
「ヒロさん。今晩も遅くなると思いますから…先に寝て下さいね。」
………。
…こいつ…オレに隠れて何をしてやがるんだっ!
「…………。そうか。」
オレは…、一番言いたいことを飲み込んだ。
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