エゴイストU

□+桜の下で+
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「なっ!…そんなの…人に見られたら困る…///。」

「くすっ。…嫌…じゃなくて…困る…ですか。」

「………ぅ…。」

「…大丈夫ですよ。さっきこっちに歩いて来る時、確認しました。あっちが明るすぎて、ヒロさんほとんど見えませんでしたし…。」

「…だからって…な…」

……ちゅっ。

「…おいっ……///!」

「…すみません。」

野分は悪びれた様子もなく、逆に嬉しそうだ。


「…ったく…///。」


弘樹は小さく眉間にしわをためているのに、頬を染めながら俯いた。






……包み込むように握りしめる野分の手が大きくて………とても暖かい。

2人は手をつないだまま桜をしばし見上げていた…。





「ヒロさん、手をつないで帰りましょうか。」

「バカ。なに言ってんだ。んなこと出来るわけねぇだろ!」

「いいじゃないですか。恥ずかしいなら、酔ったふりして下さい。そしたら腕を組んでも、肩を抱いても目立ちませんから…。」

野分はニコニコと答えた。

「…誰がするかっ!」


「…そうですよね。…あ…ヒロさん、ちょっと動かないで下さい。」

「…なんだよ?」

野分は、弘樹の髪についた一片の花びらをつまんだ。

「桜の花びらです。」


そう言って花びらに口づけた。




「………っ///。野分っ!…か…帰るぞっ!」

「ヒロさん。待って下さい。」

「今度は、なんだっ!」

「もう一度…キスさせて下さい。」

「なんでっ!?」

「…来年も…その次も、ずっと…この桜の下でヒロさんと一緒に桜を見られるように、おまじないみたいなものですよ。」

……毎年…一緒に桜を見る…………か…。


野分は、そっと弘樹の髪に指を絡めて引き寄せると、静かに唇を重ねた。





「…ヒロさん?。」

……意外にキスを大人しく受け入れた弘樹に、野分は驚いた。


「…ほら///。帰るぞっ」

「……俺…酔ったかもしれません。」

野分は、弘樹の肩に額をのせた。

「そんなに飲んでねぇだろ?」

「…いえ…嬉しくて…」

「なにが?」


「……ずっと一緒にいてもらえる約束もらったみたいで…。」


「…別に…ふつうだろ?花見…なんてさ。」


「…くす。…ふつう…なんですかね。」

「…くどいぞ…///。」

「はい。すみません。…ヒロさん…もう少しだけ…こうしてていいですか?」


…野分は、込み上げてくる愛しさと“ふつう”と言ってくれる嬉しさに、弘樹の肩に額をおいたまま…そっと抱きしめた。






〔おわり〕
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