ロマンチカ
□シェフ=ウサギ
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「自分で教えて」…って言っときながら、なんだよ…その「コレ取って」的な視線はっ!
「もー!自分で取れよっ。…ったく、やる気あんのっ。」
包丁に張り付いたチーズをはがしながら、美咲はイヤミを言ってみるが、
「…次は?」
…と、何事もなかったようだ。
「え?…えっと…。フライパンで切ったチーズの表面を焼くんだ。」
あらかじめ熱していたフライパンに、ひと切れのせて手本を見せる美咲に……
「…………。」
無言のまま秋彦は、美咲がおいたチーズの隣りにならべた。
「…これね、あったかいうちに食べでも美味しいけど、冷めても結構いけるんだ。」
チーズ料理について美咲が熱く語る。
「…ふーん。…どこで覚えてきたんだ?」
「……えーとですね。」
ヒントは、ザ☆漢であることを話したら、面倒なことになりそうだ…。
などと…美咲が考えていると、
チーズのジュー…という音に、
「あ…ウサギさん、裏返して。」
美咲は、慌てて声をかけた。
「……どうやって?」
……………おい。マジやる気あんのか?
「ぉわっ!焦げるっ!」
結局美咲が裏返した。
「…ウサギさん。これも出来ないんじゃ絶対飢え死にするな…。」
「くすくす。…しないさ…。」
「なんで、んなこと言いきれんのさ?」
秋彦は、美咲のあごをクイッと上げると、
「美咲が…ずっと作ってくれるんだろう?」
そういうと、かすめるようにキスをした。
「……っ///。なにすんだよっ、エロウサギっ!」
「…美咲。……飢え死にしそうだ。」
「…じゃあ、これ食えよっ……///。」
腰に絡みつく秋彦の腕をはがしながら、皿に焼いたチーズをのせると、コショウをふり、バジルを添えて盛り付けた。
「…先に美咲が食べたいな…。」
美咲の首筋にカプカプと軽く噛みついた。
「…なに言ってんだよっ?!冷めるだろ!」
「………冷めてもいけるんだろ?」
意地悪く秋彦は笑った。
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