エゴイスト

□予約
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………そして、ついに、その理由が判明した。


オレがヒルトン第一ホテルで大学の会合が終わり会場をあとにしようとした時…

見慣れたやつの姿を見つけた。



………。

女の肩を抱いた野分は…一緒にエレベーターに乗り、そのホテルの客室階へと消えて行ったのだ。


「……なんだ…。そういう事か…。」

何か悩んでいるようだったが……

……まさか自分と別れるタイミングで悩んでいるとは、思わなかった。




もともと、男同士だし、世間一般から見れば……だし…。

でも、オレは…男とか、女とか、関係なく野分という存在そのものを好きになっただけで…。

あいつが、女を好きになったとしても……それは、至極当然で……。




たぶん…自然な事なんだ…。

オレが、とやかく言える義理じゃない。





弘樹は、漠然とそんな事を考えながら、ホテルを見上げ踵を返した。



………もしかしたら、連れの女は…ただの知り合いで、たまたま部屋まで送っただけなのかもしれない。

そう思いたいが、あの女の肩にまわした腕が…

オレの小さな希望も否定する。



………あいつは今晩…帰って来るのだろうか…。


夜の11時をまわった頃、玄関の扉の開く音がする……。

「ただいまです。ヒロさん。」


………オレは、気づいてないふりをした方がいいのだろうか。

真相を聞くには、オレの心の準備が………。

気持ちの整理が…出来ていない。



「ヒロさん?」


「……おかえり。」

いろいろ考えていたからか、野分を視界に入れただけの気のない返事をしてしまった。




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