エゴイストU
□禁断。
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………俺は、もともと人のモノには関心はないのだが…。
……興味を抱く人がたった1人だけいる…。
やたらと乱暴で、ぶっきらぼうなのに、一途に1人を愛する…その人…。
…………上條弘樹。
彼の中で…日常の一部を変えられたら、どんな風になるのだろう。
………例えば…野分以外のヤツに抱かれでもしたら…
……彼にとっては、辱め以外の何ものでもないんだろうな…。
野分とキッチンに並んで、忙しなく朝食の準備をしている上條さんを見ながら、俺は漠然とそんな事を考えていた。
「先輩。卵2個でしたよね?」
野分が津森に声をかけると、
「あー?うん。わるいな…朝ご飯まで甘えちゃって。…それから…すみませんね上條さん。夕べ遅くにお邪魔しちゃって…。」
「…いや。…別にたいした事じゃないし。」
…くすっ…相変わらず素っ気ないなぁ。
「…おい。お前の先輩…気色悪いぞ…。なんでオレ達を見て薄ら笑い浮かべてんだ?」
………俺に聞こえないように小声のつもりってのは、わかりますが…めちゃめちゃ耳に届いてるんですけど?
「えっ、そうですか?いつもあんなですよ?」
……なぁ…野分…。少しは先輩の名誉を守ろうとか思わないの?
ため息まじりに2人を視界に入れると、あまりにも自然な恋人同士で……
…イケナイ関係であること一瞬忘れてしまう。
………こんなに惹かれあってるのにケモノ道ってなぁ…。
……まぁ…当の本人達に、自覚がないわけじゃないだろうけど。
「こうして見てると…仲の良い夫婦みたいですね…。」
味噌汁の味を確かめようとしていた弘樹は、その言葉に動揺したのか、はたまた手元が狂ったのか、小皿を宙で踊らせてしまった。
「ぅあちーっ!」
「わっ!ヒロさん大丈夫ですか!火傷しませんでしたかっ?」
「してねぇよ。」
「見ますから、シャツ脱いで下さいっ。」
………え?…脱ぐの?
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