エゴイストU

□+求める想い+
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+求める想い+



…………お前がオレを見つけなければ…


野分と出会うことはなかったのに…




……お前が…そばにいなければ…


……野分を知らずにいたのに…



………お前があの時、居合わせなければ…


……秋彦への想いを断ち切ることはなかったのに…



…お前が好きだと言わなければ…


……自分の気持ちに気づく事もなかったのに…



………お前に抱かれなければ…


……愛されるということを知らずにいたのに…



……野分


………愛してる






野分の大きな手が触れるたび…伝わってくる暖かなぬくもり……


頬に軽く触れた指が…唇をなぞるたびに、口づけが欲しくなる…


野分の唇が軽く重なるたび…もっと触れて欲しくなる…


耳朶を甘噛みされるたびに…くすぐったい感覚に身を捩る…


野分が鎖骨に口づけ…ちりっと痛みを感じると、小さな跡が残る…


野分の手が胸元を軽く這うと……体が勝手にその手を求めてしまう…


…野分の…口づけがほしい


……もっと…お前のぬくもりがほしい…


………野分がほしい


……野分の愛がほしい









……あなたにあの場所で会わなければ…


……ひとめ惚れという感情を知らずにいたのに…


………あなたのそばにいたくて…


……その口実を探し…警戒されないように必死だったのに…


……あなたに…俺を見て欲しかった…


………あの人への想いでいっぱいだったあなたを…


どうしても…心を奪いたかった…あの人から…


あなたを…泣かせることになってしまっても……


………想いを向けて欲しかった


…俺の想いに気づいてほしかった


……あなたに「好き」といってほしかった…



……ヒロさん


…ヒロさん


……愛しています。







ヒロさんに触れたくて…そっと抱きしめる…


あなたが…恥ずかしそうな表情を浮かべるたび…

すぐにでも…口づけたくなる衝動にかられる自分を…抑え込む

そして…柔らかな唇に触れるたび…もっと…あなたが欲しくなる。


耳朶に口づけるたびに…あなたは…くすぐったそうに体を捩る…


あなたにつけた鎖骨のしるしが…白い肌に赤く浮き出ると…


あなたを少しだけ…束縛したように錯覚する…


……胸元に手をやると…ヒロさんの体は俺を求めてくれる…


……あなたが甘い吐息を奏でるたび…


…もっと俺を感じて欲しいから


………俺を求めてほしいから…

…あなたの体に俺の想いのひとつ一つを伝える……


……そして…もっと俺を好きになってほしい


…俺を…愛してほしい


……もっと…俺なしじゃ生きていけなくなるくらい……


のばしたその手で…俺に触れて…


……ヒロさん

…愛していると言って…

「…ヒロさん。愛しています。」


「…野分…愛してる。」

…もっと俺を欲しがって……。




〔おわり〕


 

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