運命の恋

□9再会と通じる想い
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しばらくの沈黙の後、リズは意を決して声をあげた。

「私がここにいるのはね、騎士団に入れてもらったからなの」

「騎士団に?」

「私ができるのは脱狼薬を作ってリーマスを助けること。

リーマスも騎士団に入ってるんでしょう?」

「しかし...」

「危険なのは知ってるの。

私の夢である施設の再開が遅れることも、闇の陣営から狙われたりする事も全部承知で入れてもらったの」

リズは真っ直ぐにルーピンを見つめて言った。

「それでもリーマスの役に立ちたいし、側にいたいと思った...

リーマスが人狼だからって自分を卑下するならそれを変えたいって、そうも思った。

もっと側にいたらそれができるんじゃないかって。

だから....リーマスの側にいてもいい?

ただリーマスの側にいたいの。

たとえリーマスが私を受け入れてくれなかったとしても。

騎士団として命を落とすことになっても。

それでも、側にいたい。側にいさせてほしいの!」

リズは一気に言い切って、ルーピンを見つめて返事を待った。

ルーピンはリズの真っ直ぐな言葉と瞳にハッとしたようにリズを見つめた。

「一つ確認してもいいかい?

リズの気持ちはずっと私に向いたままなのかい?」

戸惑うようなルーピンの声にリズは不思議そうに頷いた。

「....やられた.....。」

盛大にため息をついたルーピンをリズは心配そうに見つめた。

「リーマス?」

「すまない。シリウスに一杯食わされたようだ...」

ははっと情けなさそうに微笑んで、ルーピンは立ちあがってリズの前に立った。

「リズ、私は....自分が人狼だからという気持ちは変わってないんだ」

その言葉にリズはまた振られるのかと落ち込んだ。

「けどね、リズと別れてからずっとリズのことばかり気にしていたよ」

そう微笑んだ様子のルーピンに、リズは顔を上げた。

「今日もシリウスから手紙をもらって慌ててきたんだ...

そうしたら君たちが仲よさげにしているから、てっきり結婚することにしたんだと思ったんだ」

「え?」

「焦ったよ...。

自分で振っておいて、でもどこかでリズの気持ちはずっと私に向いたままだとそう思っていたから。

ずるいだろう?」

ルーピンは自嘲気味に言った。

「そんなこと...」

「私はずるいんだ。

自分で人狼だからと遠ざけて、でもリズが誰かのものになるのが許せない」

「そんな事、そんなの気にしないよ」

「リズ...いつか私が君を傷つけてしまうかもしれない。

それでも私の側にいてくれるのかい?」

自信なさそうにルーピンはリズに言う。

「うん、うん。

私...リーマスの隣にいられるなら何があってもいい。

例え変身したリーマスに傷つけられても...」

そう言ったリズをルーピンは抱きしめた。

「リズ、愛してる」

ルーピンの言葉にリズの目からポロリと涙がこぼれ落ちて、次から次へと溢れた。

「わ、私も...」

涙の止まらないリズはそれだけ言うのが精一杯だった。

それでもリズの気持ちは十分に伝わったようで、ルーピンも安心したように微笑んだ。





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