運命の恋
□8突然の来訪者
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夕飯も終わり、リズは洗い物を始めた。
シリウスはリビングで日刊預言者新聞を読んでいる。
ウィンキーはお風呂の支度へと向かった。
きっとすぐに戻ってきて、リズに休めと言うのだろう。
予想通り、ウィンキーはものの数分で戻ってきて
「リズ様もお休みください」
そう言ったのだった。
リズは苦笑して仕方なくリビングのシリウスの元へ向かった。
「シリウス、明日から必要なものとかやりたいことってある?」
「そうだな...。
リズは何をするんだ?」
「私?私は...そうだなぁ
研究所と施設の確認と
必要なものの購入リストを作って
お店に注文書を出すことかな?」
「なら、それを私も手伝おう」
「えっ、だけど...」
「どうせ外には出れないんだ。
世話になるんだから手伝いくらいしないとな」
「じゃあお願いします。
片付けとか一人じゃ大変だなって思ってたからとっても助かる。
ありがとう、シリウス」
リズはにっこりと微笑んだ。
「施設の方はね、綺麗に片付いてると思うんだけど、研究所は薬品があるから掃除はされてても片付いてないと思うの。
シリウスは魔法薬学、成績良かった?」
「私の学生時代の成績は大体において優判定だった。
ジェームズと私で主席と次席だったんだ」
「へぇー、優秀だったんだ!
でも、うん。
言われてみればシリウスって
<教科書見ただけでテスト完璧>
って感じのタイプだよね」
「まさにそれだったな」
シリウスとリズはクスクス笑った。
その様子をそっと見ていたウィンキーは、少しホッとしていた。
"シリウス・ブラックはリズ様を傷つけたりはしなさそうでございます"
そしてリズの心からの笑顔を見て、ウィンキーも嬉しくなるのだった。
「リズ様、談笑中に失礼いたします」
「ウィンキー。
ウィンキーも一緒にお話ししない?」
「リズ様、それよりお風呂の支度が整いましたが」
「あ、そっか!
えーっとシリウス、先にどうぞ?」
「いいのか?」
「うん。ゆっくり入ってきてね?
お風呂でゆっくりするなんて久しぶりでしょ?」
シリウスは頷いた。
「では私めがご案内致します」
「あ、ウィンキーありがとう」
そう言ってウィンキーはシリウスを伴ってリビングを出て行った。
風呂場まで来ると、シリウスはウィンキーに話しかけた。
「心配しなくてもリズには何もしない」
「私めはそんな事は...」
「さっきも覗いてただろう?」
「申し訳ございません」
「いや、いいんだ。
心配するのは当然の事だ。
世間では大量殺人の脱獄犯なわけだからな」
「リズ様が違うと仰られましたので、疑ってはおりません。
この家の方は皆、世間の噂は耳に入れずに真実だけを受け止めるのでございます。
ウィンキーもそうでありたいと思っていますので、疑ってはおりません。」
「そう 、か...。
それはすまなかった。」
「いえ、お気になさらなくて大丈夫です。ではいいお風呂を」
シリウスはウィンキーの声に、風呂場へと入っていくのだった。
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