運命の恋
□6離れた距離
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それからリズはクリスマス休暇が明けて生徒たちがどんどんホグワーツへと戻ってきてもルーピンに会えないままだった。
「リズ!元気だった?」
「エリー!
うん...えっと素敵なプレゼントありがとう」
リズがにっこり笑えば、エリーがじーっと見つめてきた。
「はいっ、隠し事は無しよー」
そう言ったエリーにリズは部屋へと連れ去られたのだった。
けっきょく洗いざらい喋らされたリズ。
エリーの見解もシリウスと一緒だった。
「それ、むしろ好きって言われてるのと一緒じゃない?」
「どうしてそうなるの?」
「どうしてって言われてもねー。
そうなんだもん。
とにかく先生とゆーっくり話すべきよ!」
エリーは力強くリズに言った。
その言葉にリズも話をしようと決めたものの、新学期が始まってもなお、なぜだか全くルーピンと話す余地がなくなってしまったのだった。
「これは避けられてるわよ...」
エリーが深刻そうに呟いた。
「強行突破しかないわね。
リズ、頑張るのよ!」
わけがわからないまま、リズはエリーの勢いにのまれて頷いたのだった。
けれどクィディッチのグリフィンドール対レイブンクロー戦が終わっても話す機会が訪れなかった。
シリウスがハリーたちの部屋に侵入したのだった。
クルックシャンクスがメモを持って行ったに違いないとリズは確信していた。
けれど数日前スキャバーズがいなくなったと談話室でロンとハーマイオニーが喧嘩をしていたのを知っているリズは、シリウスが無駄足だったんだとも知っていた。
シリウスにこの事を伝えに行こうかどうかリズは迷っていた。
"だけど...今はリーマスと話がしたい..."
そうは思うもののシリウスを心配したリズは、こっそりクルックシャンクスに手紙をつけてシリウスに届けてもらえるようにお願いしたのだった。
それから数日後の夜、エリーが慌ててリズを呼びに来た。
「リズ、行くよっ」
「え、ちょっと、エリー?
どこに行くの?就寝時間近いよ?」
リズはエリーに引っ張られながら必死に走った。
「ここ」
「ここって魔法史の教室だよ?」
「そう。今ここにルーピン先生とハリーがいるわ!」
「え?なんで?」
「んー、それはわかんないけど。
ルーピン先生が教室に入った後にハリーが来たのよ」
エリーはドアに耳を近づけて中の様子を伺った。
「なんか呪文の練習してるみたいだけど....
エクスなんたらって...」
エリーは首を傾げたが、リズにはそれがぱとローナスの呪文だとすぐにわかった。
「ディメンター対策なんだよ」
「ふーん?
まぁなんでもいいけど、リズ、ここで待ってなよ?
先生が来たら話をする!いい?」
「え?でも...」
「だってこうでもしなくちゃ先生上手いこと逃げるから。
むしろハリーがいるうちに先生に時間をとってもらえるようにお願いするべきなのよ!」
躊躇うリズにエリーはビシッと言った。
「うん、だけどハリーの邪魔はできないから、ここで待ってるね」
「それでよし!
じゃあ私は戻ってるからねー」
エリーはリズに手を振り、さっと踵を返してグリフィンドール寮へと戻っていくのだった。
それから1時間しないくらいのうちにハリーが教室から出てきて、ドアの横に座っているリズを見つけて驚いた顔をした。
「あ....リズさん?」
「こんばんは、ハリー」
リズは立ち上がってにっこりと挨拶をした。
「どうしたんですか?」
「ルーピン先生はまだ中に?」
「ええ、片付けを」
「そう。じゃあ入ってもいいかな?
先生に用事があって」
そう言うリズにハリーはドアの前を退いて、リズを中へと通した。
「ありがとう。
ハリー、おやすみ」
手を振って教室の中に入ったリズはなんだか緊張してるようにハリーには見えたのだった。
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