運命の恋

□5微妙な距離とクリスマス
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翌日になって、リズは風邪の症状が出ていた。

「喉が痛い...」

そう呟いて起き上がると、すぐにマダム・ポンフリーがリズのベッドにやってきた。

「ミスクロフォード、これを飲んで大人しくしていてくださいね」

リズは頷いて元気爆発薬を飲んだ。

ベッドに横になっているが、耳から煙が出るためゆっくりとは休めなかった。

数時間して煙が収まると、リズは少し眠ったのだった。

リズが目覚めるともう3時過ぎだった。

「ミス・クロフォード、具合はどうですか?」

「はい、もう良いみたいです」

喉の痛みもなくなっている事に、リズはホッとして言った。

「では戻っても良いですよ」

マダム・ポンフリーは頷いてリズに退院の許可を出した。

「ありがとうございました」

お礼を言って医務室を出るとすぐにリズはエリーに会った。

「リズ、もういいの?」

「うん、ごめんね」

「いいのよー。

でも、医務室に行ってくるって言って帰ってこないんだもん。

びっくりして昨日様子を見に来たら今日の夕方に退院ってマダム・ポンフリーが言うからびっくりしちゃった」

エリーは笑った。

「ごめんね、熱がひどくて元気爆発薬が飲めなくって」

「そっかー。

でも良かった、元気になって!」

そう笑顔で言ったエリーは、そうだと思い出してリズに言った。

「今朝ね、ルーピン先生がリズはどうしたのかって聞いてきたのよ」

「え、ルーピン先生が?」

「うん!

熱で入院してますって言っておいたけど...お見舞いに来なかった?」

エリーは興味津々な様子でリズに尋ねた。

「わからないな...ほとんど寝ていたし...」

「そっかー。

でも、姿が見えなくて心配するって事は、リズ、可能性あるんじゃない?」

「えぇ?そんなことないよ」

リズはシリウスにも同じこと言われたなと少し戸惑いつつ答えた。

「大丈夫よ!

ねえ、夕飯前に先生の部屋に行ってみたら?」

「いいよ、そんな...」

「行きなさいー!」

消極的なリズの様子を見て、リズをぐいぐい引っ張ってエリーは言った。

「さあ!」

そう言った先にはルーピン先生の部屋で、リズは慌てた。

「エリー⁉」

「い・い・か・らー!」

エリーがそう叫ぶと、ルーピンの部屋のドアが開いた。

すかさずエリーが声をかけた。

「ルーピン先生、リズが退院してきましたー」

そう言いながらぐいぐい部屋の方へリズを押しやるエリー。

「ちょっと、エリー!?」

リズは押されるがままにルーピンの目の前まで連れて来られてしまった。

「それっ」

「え?きゃっ...」

エリーに押され、リズはバランスを崩した。

「おっと..」

ルーピンはリズを難なく受け止めた。

「じゃあルーピン先生、ちょっとリズをお願いしますー」

そう言ったが早いか、既にエリーの姿は数メートル先。

リズは状況について行けずに思考が停止していた。

「リズ、大丈夫かい?」

すぐそばで聞こえる声にリズは固まった。

"エリーに押されて...ルーピン先生に支えられて....?"

リズは顔を赤くして慌ててルーピンから離れようとした。

「リズ?

ちょっと待って、危ないっ!」

支えられていた腕をふりほどいた瞬間、リズは体制が崩れて後ろに転びそうになった。

「間に合ってよかった...」

その声がさっきよりも近くてリズは恐る恐る目を開けた。

至近距離にルーピンのホッとした顔があってリズは俯いた。

「頼むから暴れないでくれるかい?」

リズは大人しく頷いた。

ルーピンはゆっくりとリズを立たせて、リズから離れた。

「お茶でも飲んでいくかい?」

少し寂しそうなルーピンの顔を見て、リズは慌てて頷いた。

ソファーに座ると、ルーピンがすぐに紅茶を淹れてくれた。

リズが黙っているのでルーピンは口を開いた。

「リズ、具合はどう?」

「あ、はい。もうすっかり良いですよ」

「それは良かった。

今朝、熱で入院してると聞いてね」

「あ、エリーが言ってました。

あの、お見舞いに来てくれました?」

「いや、すまない行ってないんだ。

授業だったからね」

「いえ、私ずっと寝てたので、もし来てくださってても気がつかなかったと思うので」

「次、入院になることがあったらお見舞いに行くことにするよ」

ルーピンは微笑んだ。

リズはなんだか恥ずかしくて、ルーピンから視線を逸らした。






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