運命の恋
□4満月の夜と出会い
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それから月が変わり、各クィディッチのチームが練習に励む中、リズはまた勉強に打ち込んでいた。
そんなある日、生徒たちが掲示板を見て賑わっていた。
「あ、ホグズミードか...」
リズは日付を見て諦めた。
薬を作る時期だ。
「リズ、ホグズミード行く?」
エリーがリズに問いかけた。
「ごめん、エリー。
私今回は用事があって」
「そっかー。
じゃあどうしようかな...」
エリーが言いにくそうに口籠った。
「どうかしたの?」
「実はね、誘われたの。ホグズミードに」
「デートなんだ?」
「うん...でも年下で...」
「あら、同学年でなければ年下しかいないけど?」
リズがからかい口調で言えば
「あと先生ね!」
とエリーもからかいで返してくる。
「もう、エリーったら!
でもいいじゃない、行ってみれば?」
「うーん。」
リズの言葉にも煮え切らない態度のエリー。
「別に行ったからって付き合わなくちゃいけないわけじゃないし。
それにエリー、いっつも彼氏欲しいって言ってるじゃない?
....それとも先輩の事まだ気にしてるの?」
リズは2年前の事を思い出して言った。
エリーが告白して付き合ったレイブンクローの先輩は、あろう事かエリーの親友であるリズに近づく為にエリーと付き合ったというのだ。
「だって...好きだったのに」
「そう、だよね...」
「でも、あれはリズのせいじゃないよ!
あれは先輩が酷い人で、見る目なかった私が悪いの。
もうちゃんとわかってるはずなんだけど、怖くて」
「エリー...」
「でも、リズの言う通り行ってみようかな。
いい加減克服しないといけないもんね」
エリーはニッと笑って言った。
リズもそんなエリーを見て笑った。
エリーに素敵な恋人が出来ますようにと祈りながら。
そうして訪れたホグズミード当日。
リズは魔法薬学の教室で脱狼薬の調合の準備をしていた。
「準備は出来たかね?」
教室のドアがパッと開いてスネイプが入ってきた。
「スネイプ先生。
今準備が終わったところです」
リズは手を止めて言った。
「では始めたまえ」
「はい!」
リズは集中して調合に取り掛かった。
「先生、できました!」
リズは出来上がった脱狼薬を見つめながら言った。
「いいだろう。
さっさとルーピンに持って行きたまえ。
飲み干すのを確認するのだぞ」
「あ、はい....」
リズはゴブレットに今日の分の薬を注ぎ入れた。
「ルーピンに必要な分を聞いてきたまえ。
足りなければ調合しよう。」
「わかりました」
リズは頷いてルーピンの部屋を目指した。
「ホグズミードの日ってなんだかクリスマス休暇の日みたいね...」
廊下の人気の無さにリズは呟いた。
下級生は全員いるのだし、クリスマス休暇より遥かに生徒はいるはずなのだが、どうにも静かで落ち着かなかった。
「あぁ、私、寂しいんだ」
いつも賑やかなホグワーツの喧騒がリズに寂しさを感じさせないのだ。
リズは卒業後を考えて寂しいなと思うのだった。
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