運命の恋

□4満月の夜と出会い
2ページ/9ページ

それから月が変わり、各クィディッチのチームが練習に励む中、リズはまた勉強に打ち込んでいた。

そんなある日、生徒たちが掲示板を見て賑わっていた。

「あ、ホグズミードか...」

リズは日付を見て諦めた。

薬を作る時期だ。

「リズ、ホグズミード行く?」

エリーがリズに問いかけた。

「ごめん、エリー。

私今回は用事があって」

「そっかー。

じゃあどうしようかな...」

エリーが言いにくそうに口籠った。

「どうかしたの?」

「実はね、誘われたの。ホグズミードに」

「デートなんだ?」

「うん...でも年下で...」

「あら、同学年でなければ年下しかいないけど?」

リズがからかい口調で言えば

「あと先生ね!」

とエリーもからかいで返してくる。

「もう、エリーったら!


でもいいじゃない、行ってみれば?」

「うーん。」

リズの言葉にも煮え切らない態度のエリー。

「別に行ったからって付き合わなくちゃいけないわけじゃないし。

それにエリー、いっつも彼氏欲しいって言ってるじゃない?


....それとも先輩の事まだ気にしてるの?」

リズは2年前の事を思い出して言った。

エリーが告白して付き合ったレイブンクローの先輩は、あろう事かエリーの親友であるリズに近づく為にエリーと付き合ったというのだ。

「だって...好きだったのに」

「そう、だよね...」

「でも、あれはリズのせいじゃないよ!

あれは先輩が酷い人で、見る目なかった私が悪いの。

もうちゃんとわかってるはずなんだけど、怖くて」

「エリー...」

「でも、リズの言う通り行ってみようかな。

いい加減克服しないといけないもんね」

エリーはニッと笑って言った。

リズもそんなエリーを見て笑った。

エリーに素敵な恋人が出来ますようにと祈りながら。

そうして訪れたホグズミード当日。

リズは魔法薬学の教室で脱狼薬の調合の準備をしていた。

「準備は出来たかね?」

教室のドアがパッと開いてスネイプが入ってきた。

「スネイプ先生。

今準備が終わったところです」

リズは手を止めて言った。

「では始めたまえ」

「はい!」

リズは集中して調合に取り掛かった。

「先生、できました!」

リズは出来上がった脱狼薬を見つめながら言った。

「いいだろう。

さっさとルーピンに持って行きたまえ。

飲み干すのを確認するのだぞ」

「あ、はい....」

リズはゴブレットに今日の分の薬を注ぎ入れた。

「ルーピンに必要な分を聞いてきたまえ。

足りなければ調合しよう。」

「わかりました」

リズは頷いてルーピンの部屋を目指した。

「ホグズミードの日ってなんだかクリスマス休暇の日みたいね...」

廊下の人気の無さにリズは呟いた。

下級生は全員いるのだし、クリスマス休暇より遥かに生徒はいるはずなのだが、どうにも静かで落ち着かなかった。

「あぁ、私、寂しいんだ」

いつも賑やかなホグワーツの喧騒がリズに寂しさを感じさせないのだ。

リズは卒業後を考えて寂しいなと思うのだった。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ