運命の恋
□1出会いと新学期
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リズは突然止まったホグワーツ特急の揺れで目を覚ました。
「あれ?まだ着いてない...よね?」
小さく呟いて外を見れば、大粒の雨が窓に打ち付けていた。
「何だかすごく寒いような......これ、もしかして....」
リズは同じコンパートメントに乗っていた同寮の双子の下級生に声をかけて、通路へと出た。
妙にシーンとした車内の様子に、リズの予想は確信へと近づいていった。
「そういえばシリウス・ブラックが脱獄したって騒がれてるもんね。
そのせいでこんなところにまで....?」
寒さの増してきている通路を進んでいくと黒い影。
「やっぱりディメンター...」
コンパートメントの一室を覗き込むディメンターの様子に、リズはマズイと杖を取り出した。
が、リズが守護霊の呪文を唱える前にそのコンパートメントから青白い光が輝いた。
「え?...私以外に使える生徒が?」
リズは驚いたが、ディメンターが行ってしまったのを見て慌ててそのコンパートメントの扉を開いた。
「大丈夫⁉」
リズがコンパートメント内で見たのはハリー・ポッターが気を失っているところと生徒では無い男性が皆んなにチョコを配っている光景だった。
「あ....あれ?生徒じゃなかったんだ....」
リズはこの男性が守護霊の呪文を唱えたのだと一瞬で理解してポツリと呟いた。
「おや、君は?」
「あ、私、リズ・クロフォードです。7年生です」
「クロフォード?......
あ、いやすまない。
君もチョコを食べた方がいい。」
そう言って差し出されたチョコを受け取るリズだったが、さっきの反応が気になっていた。
"純血だからかしら?でも..."
「あの、貴方が守護霊の呪文を?」
「そうだね。
ああ、私はリーマス・J・ルーピン。
今年から闇の魔術に対する防衛術の教職に就いた者だよ」
「そうだったんですね。
ルーピン先生、ところで...」
そうリズが言いかけた時、ハリー・ポッターが目を覚まし、リズは結局そのまま続きを言う事ができなくなってしまったのだった。
「それじゃあ私は車掌と話してこなければならないので失礼するよ」
そうルーピンがコンパートメントを出ていくのをリズは見つめた。
「リズ先輩、どうかしたんですか?」
ハーマイオニーの心配そうな声にハッと意識を戻したリズは笑顔を向けた。
「ごめんね、大丈夫よ。
ちょっと考え事しちゃってたの。
そろそり戻らないとフレッドとジョージが探しに来そう」
そう苦笑して、リズはハリー達に手を振ってコンパートメントを後にするのだった。
自身のコンパートメントに戻れば案の定フレッドとジョージが騒いでいた。
「やっと戻ってきた!」
「なかなか戻って来ないから兄弟がうるさくてかなわなかったよ」
「フレッド!」
「リズ先輩、この二人どうにかしてください...」
ギャーギャー騒ぐ双子にリー・ジョーダンが肩をすくめた。
「心配かけたみたいでごめんね。
ほら、ディメンターが入ってきたでしょう?
それで色々あって戻るのが遅くなっちゃったの」
リズが謝れば
「それなら俺たちと同じだな、相棒」
「そうだな兄弟!あのマルフォイの顔と言ったら」
そう言いながら二人が笑い出すので、リズは首を傾げた。
「私がいない間にそんなに面白い事があったの?」
「それはもう!」
「あのマルフォイが血相変えて俺たちのコンパートメントに入ってきたんだ!」
「あれはもう傑作さ」
そう言って笑い続ける二人に
「あー、ディメンターに怯えてってことね?」
そうリズは言葉から状況を理解する。
「その通り!」
「それに比べて我らの女神は素晴らしい!」
「そうだな、相棒」
「「ディメンターなんて怖く無いようだ!」」
そう二人で顔を見合わせていうものだから、リズは肩をすくめた。
「確かに怖く無いけど、到底好きにはなれないわ」
そうしてリズが席に着いた頃、やっとホグワーツ特急が動き出したのだった。
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