一途な恋を黒犬と

□11シリウス・ブラック
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「ルーモス」

マリアが唱えると辺りが明るくなった。

「マリア先生、これはどこに続いているんですか?」

しばらく進んだ頃、ハリーがマリアに問いかけた。

「叫びの屋敷よ...」

ポツリと返答したマリアには余裕がなかった。

"スキャバーズが...ピーターが逃げていたらどうしよう"

そう焦っていた。

きっとシリウスも焦っていたんだろう。

予言も聞いていたのだから。

叫びの屋敷につき、マリアは上階の一室へと足を踏み入れた。


「ロン、大丈夫!?」

ハリーとハーマイオニーが駆け寄った。

「スナッフルズはどこ?」

「犬じゃない!」

「え?」

「犬じゃなかったんだ。

あいつが...

あいつはアニメーガスだったんだ!」

ハリーは振り向いて、そして人の姿に戻ったシリウスを見た。

シリウスは杖を構えて呪文を唱えた

「エクスペリアームス!」

ハリー、ロン、ハーマイオニーの杖が宙を飛んでシリウスの手に収まった。

「シリウス!」

マリアはシリウスに抗議の声を上げた。

杖を取り上げなくてもいいだろうと。

「シリウス!ロンの手当をしたいから落ち着いて!」

マリアはシリウスを一喝した。

そうしてさっとロンの応急手当をしてシリウスの横に戻った。

ハリーはマリアを見て、シリウスを見た。

「マリア先生、ロンがこんな目にあってもブラックの味方なんですか?

それに...僕たちを騙してた?」

ハリーが怒りに震えていた。

「ハリー、シリウスはロンを傷付けたかったわけじゃないの。

焦っていてそうするしか、ロンごと連れてくるしかなかったの」

「じゃあやっぱり僕を狙って...?」

「それも違うわ。

ハリーあなたを狙っていたなら、もっと前にもチャンスはあったはずよね?」

正体を隠してたのは申し訳ないけど、とマリアは言った。

ハリーは考える仕草をするも、怒りが勝ったのかシリウスに飛びかかった。

「ハリー、やめてっ!」

マリアの声を無視して、ハリーはシリウスを殴った。

その拍子に杖がシリウスの手を離れ、それをハーマイオニーがさっと取った。

「ハリー、私を殺すのか?」

「お前は僕の両親を殺した!」

「否定はしない...」

そのシリウスの言葉にマリアは声を上げた

「シリウス!.....ハリーもお願い、落ち着いて」

「僕は落ち着いてる」

「いいえ、怒りで動いてるだけよ。

私の話を思い出して。

ハリー、あなたなら正しいことがわかるはずよ」

「ブラックを...両親の仇を取る事が正しくないわけがない!」

ハリーに届かない声にマリアは涙を流した

「違うの!シリウスは、

シリウスは裏切ってないのよ!

お願い、ハリー....

シリウスの話を聞いて」

「マリア....」

「マリア先生....」






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